ちょっとだけ不思議な昆虫の世界(3)

今回で2度目の引っ越しです。 さりげなく(Sally Genak)虫たちの不思議な世界を紹介しています。

2018年07月


前回までの見栄えのする蛾に続いて、千載一遇のチャンスとなるような、
普段ブログ記事にすることはないチョウの仲間を、撮影順に紹介したい!!

約1名の友人から、
 「このブログにチョウがほとんど出てこない!!
  何か昔、嫌なことでもあったのか?」
と聞かれたが、そんなことは全くない。

ただ単に、撮影の機会が少なかっただけで、
出来ればもっとたくさんのチョウの写真を撮りたいのだが・・・





ヒメウラナミジャノメ(タテハチョウ科)
イメージ 8
2018年5月4日 東海村・茨城

翅の一部が抉れたように破れているが、写真には写っていない左側の翅は、
特に破れていないので、いわゆるビークマークではなさそうだ。

ビークマークについては、以下の記事をご覧ください。

【虫たちの生き残り戦略⑰ 捕食者を欺く(3) 小さな目玉模様 】
  ↓  ↓  ↓
 http://sallygenak.livedoor.blog/archives/2017-0510







コミスジ(タテハチョウ科)
イメージ 2
2018年5月5日 水戸市・茨城

よく似たような模様のチョウが数種いるが、いずれも比較的簡単に同定可能である。

数回羽ばたたいてから、翅を水平に開いて滑空する特徴的な飛び方をチョウでだ。

 ⇒食草はマメ科植物で、年数回発生し、3齢幼虫で越冬する。








モンキチョウ(シロチョウ科)
イメージ 3
2018年5月11日 松本市・長野

こんな時でないと、ブログ記事にはならないチョウだが、
近年あまり見なくなったとの「うわさ」もあるようだ。

 ⇒そういえば、弘前市の我が家周辺でも、モンシロチョウも見かけず、
  白っぽいチョウは、スジグロチョウばかりかも・・・?







ウスバシロチョウ(アゲハチョウ科)
イメージ 4
2018年5月14日 赤城山山麓・群馬

ほとんどの虫マニアが知っているように、タイトルの科名は間違いではない。

 ⇒この子も「うわさ」では、生息地が減ってきているようで、
  やはり、幼虫の食草の関係なのだろうか?








トラフシジミ(シジミチョウ科)
イメージ 1
2018年5月16日 山形市・山形

よく知られているように、シジミチョウの仲間は、
後翅に尾状突起を持っていて、翅を閉じて静止することが多い。

 ⇒この写真では分かりにくいのだが、
  先端が白くなった2本の尾状突起が、まるで触角のように見え、
  その付け根にある黒い点は、目を連想させる。
  さらに、翅の裏面にある点線のようなしま模様が、
  その目のような点に集まっているので、前後が逆のように錯覚する。

まさに、主に頭部を狙う捕食者が、攻撃する的(マト)を、
特定できないようにする効果があるようなのだ。

【虫たちの生き残り戦略⑲ 捕食者を欺く(5) どっちへ逃げる】
   ↓   ↓   ↓
 http://sallygenak.livedoor.blog/archives/2017-0516







ベニシジミ(シジミチョウ科)
イメージ 5
2018年5月16日 山形市・山形

こちらは、尾錠突起を持たないシジミチョウで、
翅を開いて静止する傾向があるのかもしれない。

 ⇒この赤色~オレンジ色は、警戒色ではなさそうだ。







アカシジミ(シジミチョウ科)
イメージ 6
2018年6月24日 だんぶり池・青森

こちらは、尾状突起を持つアカシジミで、
翅を閉じて静止していることが多い。

 ⇒こちらは「赤:アカ」なのだが、上の「紅:ベニ」とは、
  正式な区別はあるのだろうか?







コムラサキ(タテハチョウ科)
イメージ 7
2018年7月1日 座頭石・青森

この子は間違いなく国蝶オオムラサキを意識したネーミング(?)で、
鮮やかな紫色が特徴的な美しいチョウである。

 ⇒この社員では分からないが、直射日光が当たると、
  見る方向によって金属光沢が現れる。

  【虫たちの金属光沢 キラキラの秘密 】
    ↓  ↓  ↓
   http://sallygenak.livedoor.blog/archives/2016-0504





 【 次 回 予 告 】

   あるひ ○のなか くまさんに であった








(前回からの続きです)

蛾・マニアは、チョウ・マニアの1割以下しかいないようだが、
これから蛾・マニアになろうとする若い人(特に女性!)に向けて、
チョウよりもずっと簡単に写真撮影ができる蛾の種類を紹介している・・・?

・・・と言うのは、表面的(!!)な理由で、本音ではない!!

本当の選択基準は、あまり良いイメージのない蛾の中にも、
一瞬「おやっ!! 何??」と思うような、やや感動的な種類がいて、
そんな仲間を、さりげなく紹介することなのだ。





カクモンキシタバ(ヤガ科)
イメージ 2
2018年6月23日 城ヶ倉・青森

近似種に、ウンモンキシタバと言うのがいるようだが、
うす褐色の帯(モン?)が角ばっているので、
この子はおそらくカクモン~の方だろう。

名前にキシタバと付くが、有名なカトカラ属ではない。

前翅表面の模様は、よく目立つので、カトカラほど隠蔽的なイメージはないようだ。

 ⇒軽く触って飛び立つ瞬間を見たが、後翅の表面には、
  カトカラと同じように、暗褐色で中央に黄色い帯があった。








スジベニコケガ(ヒトリガ科)
イメージ 7
2018年6月25日 志賀坊森林公園・青森

全国に分布する普通種だが、地味な蛾の中に混じると、
身体一面の赤い点線が特徴的な派手な蛾である。

 ⇒コケガと呼ばれるが、幼虫はコケではなく、
  地衣類や各種の落葉を食べるようで、
  不味成分を持つかどうかは不明である。








ミスジシロエダシャク(シャクガ科)
イメージ 3
2018年6月25日 志賀坊森林公園・青森

透けて見えるような白い翅に、3本の灰色の線が入る日本的な美しさの蛾だ。
実際には、灰色の四角い模様が、一列に並んでいるのだが・・・

 ⇒普通に、この名前でネット検索すると、
  よく似た名前のクロミスジシロエダシャクが紛れ込むが、
  こちらは、見た目は全く違う雰囲気のシャクガである。







ウスベリケンモン(ヤガ科)
イメージ 1
2018年6月25日 城ヶ倉・青森

淡い灰褐色の複雑な模様をしているケンモンガの一種で、
前方から見ると、猫か怖そうな人間の顔のように見える。

日没前後や薄明るくなった夜明け前に野鳥類が見つけたときには、
もしかしたら、サティロス型擬態の範疇になるのかも・・・【注】

 ⇒一般的な蛾の形状は、頭部に向かって細くなる傾向があるが、
  本種は、頭部が半円状なので、より顔のように見えるのだろう。 









ベニスズメ(スズメガ科)
イメージ 4
2018年6月25日 白岩森林公園・青森

全く同じ名前の派手な鳥類がいるが、蛾の方も、
上品そうな(?)ピンク色が美しい。

おそらくスズメガの中で、5本の指に入る人気種だと思う。

 ⇒警戒色とまでは言えないだろうが、
  ピンク色は、あまり食べ物としては適していないかも・・・?


幼虫は、ヘビに擬態していることで有名である。

【君はヘビか? ベニスズメ幼虫】
   ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101215/1








ヒメクチバスズメ(スズメガ科)
イメージ 5
2018年6月25日 城ヶ倉・青森

やや山地性のスズメガで、個体数は多くないようだが、
城ヶ倉大橋の駐車場の常夜灯では、よく見かけるスズメガだ。

 ⇒何故かスズメガの場合は、ヤママユガの仲間と違って、
  常夜灯付近を飛び回ることがあまりないようだ。







【注】体の一部に、動物を連想させる模様がある虫たちは多く、
   中でも、蛾やチョウの翅の模様の例がよく知られており、
   一部は、サティロス型擬態の範疇に入ると思う。
   
   例えば、ウンモンスズメは、翅や体の一部に動物の模様があるのではなく、
   身体全体を使って演技しながら、動物の顔を表現している。

   ウンモンスズメ(スズメガ科)
   イメージ 6
   2012年7月21日 白岩森林公園・青森

   普通の静止状態では、翅を持ち上げて静止することはなく、
   もちろん、そのときは犬のようには見えない。

   上の写真のような状態になるのは、危険を察知したときだけなのだ。

   【ヒマなときこそ擬態の話《7》 サティロス型擬態の信じられない話】
     ↓  ↓  ↓
    http://sallygenak.livedoor.blog/archives/2018-0129








タイトルの「見栄えのする蛾」と言うのは、かなり主観的である。

今回の選択条件も、今年になってから常夜灯で撮った蛾の仲間で、
サイズが比較的大きく、複雑な翅の模様を持つ種を選び出しただけである。

 ⇒どうも私も含めて虫マニアは、サイズと複雑な模様の有無で、
  その虫の好き嫌いを判断する傾向があるようだ。


いずれにしても、一般的には地味な種類が多い蛾の仲間で、
体内に幼虫時代の不味成分を保持することは多分ないのに、
比較的目立ちやすい(警戒色とは言えない!)種類も多いことが分かる。







アミメオオエダシャク(シャクガ科)
イメージ 2
2018年5月18日 矢立峠・秋田

この複雑な模様(白線!)は、何か意味があるのだろうか?
シャクガの仲間は、たまに昼行性の種がいるのだが、
この子は、昼間見たことはないので、おそらく夜行性だろう。

 ⇒また幼虫時代の食草に関する情報は、
  ネット検索では見つからなかったので、
  体内に不味成分を保持するかどうかは不明である。








タテスジシャチホコ(シャチホコガ科)
イメージ 3
2018年5月18日 矢立峠・秋田

名前のとおり白っぽい前翅表面には、焦げ茶色の太い線がある。

多少とも上品な、古風な色彩のシャチホコガで、
幼虫の食草はカエデの仲間のようだが、ちょっとだけ不思議なことに、
幼虫の体には、逆に沢山のヨコスジ(横筋が)入る。








オオクワゴモドキ(カイコガ科)
イメージ 4
2018年6月7日 矢立峠・秋田

確かに、カイコガに雰囲気が似ている。

しかし、幼虫の姿かたちは特異で、不気味な雰囲気もあるので、
野外で出会うのが楽しみな被写体のひとつである。

幼虫はクワではなく、カエデの葉を食べるとされるが、
なかなか探すのは難しそうだ。








ハガタアオヨトウ(ヤガ科)
イメージ 5
2018年6月7日 矢立峠・秋田

翅のあちこちに鮮やかな緑色の斑点模様が、
湿ったような樹皮に生える苔のようにも見える。

 ⇒この子が正しい背景を選んで静止していたら、
  おそらく野鳥類でも、さらには虫マニアでも、
  見つけ出すのが難しいだろう。








ウスベニアヤトガリバ(カギバガ科)
イメージ 6
2018年6月7日 矢立峠・秋田

普通に、蛾の翅にヘビのような模様があるのではない。

何故、翅の破れ目の奥にヘビがいるという、
不思議な「手の込んだ(?)模様」になったのだろうか?

【君も自然淘汰の結果なの??? ウスベニアヤトガリバ】
     ↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130824/1/








エゾスズメ(スズメガ科)
イメージ 1
2018年6月7日 矢立峠・秋田

なんか2匹がうまく重なっているような止まり方のエゾスズメ。

少なくとも、常夜灯で見かけるときには、ほとんどがこの状態で、
大型で模様が複雑なスズメガは、今回の採用基準にピッタリ合致する。

幼虫の食草はオニグルミの葉っぱである。








ホシナカグロモクメシャチホコ(シャチホコガ科)
イメージ 7
2018年6月9日 城ヶ倉・青森

大型の蛾にたまにあるのだが、前方から見ると黒っぽい部分が、
まるで人の顔(私は小さい子供に見える)のように見える。

 ⇒近似種にただのナカグロモクメシャチホコに似るが、
  北国の山地ではホシ~で問題ないだろう。

ヤマハンノキの葉っぱを食べる幼虫も、有名である。

【ちょっとだけ不思議な虫たち ホシナカグロモクメシャチホコ幼虫】
   ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120920/1







次回【常夜灯に集まる見栄えのする蛾(2018年前半)②】に続きます。








前回紹介した「自然のイタズラ」のような植物の姿かたちとは全く別に、
間違いなく自然淘汰によって出来上がった「奇妙な形態」も、またよく見かける。

様々な植物に形成される、様々な形態の虫えい(虫こぶ・ゴール)もその例である。

 ⇒そんな虫えいを見て、本当に不思議だと感じるのは、その色とか形態だけではなく、
    虫たちが植物を管理し、食べ物に全く不自由のない、しかも天敵に狙われることのない、
  住み心地の良い住居を、植物に作らせていることだと思う。

しかし、今回紹介するバラハタマフシ(多分?)は、
住み心地の良い住居という雰囲気は、あまり感じられない・・・?



もしかしたら、弘前市周辺で見られるものは、
形成者の異なるタマバチによる虫えいの可能性が高いのだが、
この記事では、「多分バラハタマフシ」としておく。

(詳細は、以下の記事をご覧ください)

【不思議な虫えい④ ノイバラハタマフシ】
   ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20141026/1








多分バラハタマフシ
イメージ 2
2018年7月10日 弘前市・青森

小さなノイバラの葉っぱの上にあるので、比較的大きく見えるが、
緑色の葉っぱの上に、頼りなく引っかかっているだけで、
ちょっと風が吹けば、簡単に落ちてしまいそうだ。

 ⇒このような例は、形成者が(おそらく)タマバチ類の場合が多いようだが、
  バラハタマフシの他にも、例えばブナハアカゲタマフシのように、
  鮮やかな目立ちやすいピンク色の果実のような虫えいが知られている。


これが本当に、冒頭に書いたような、
「天敵に狙われることのない住み心地の良い住居」
と言えるのだろうか・・・(後述!!)








多分バラハタマフシ
イメージ 1
2018年7月10日 弘前市・青森

バラハタマフシは、まるで木の実のように見えるが、
こんなピンク色の球形は、よく見るとなかなか美しい。

もちろん、通常(?)の虫えいも、植物体の一部が膨らんでいることが多く、
その内部に隠れるように形成者がいることが多いのだが、
バラハタマフシの色と形状は何故かよく目立つので、
別に何らかの機能があるかもしれない。


高校時代の恩師、薄葉先生の「虫こぶハンドブック」によると、
バラハタマバチ Diplolepis japonica Walker の寄生により形成され、
葉っぱの裏側の葉脈上、または若い果実に形成される虫えいで、
内部は1虫室で、1幼虫がみられる。
6~7月には葉から脱落し、そのまま虫えい内で幼虫越冬する。

 ⇒このような落下しやすく、しかもそのまま落ち葉に混じって、
  越冬できるような構造そのものが、最適な仕組みなのだろう。


数年前に一度だけ(!)、虫えいをカッターナイフで割って見たことがあるが、
肉厚の外壁ので囲まれた空間に、ただ1匹のウジムシが入っていて、
そのときには、確かに快適な隠れ家のように感じられたが、
落下後の安全性が担保された仕組みだったのだ・・・多分







上記写真の10日前の同じ場所で撮影・・・


多分バラハタマフシ
イメージ 3
2018年7月1日 弘前市・青森

ちょっとだけ不思議なことに、表面に短い突起をつけたタイプも見られるが、
一体何故、こんな雰囲気の虫えいになっているのだろうか?

赤い果実のように見えるので、鳥に食べてくださいと言わんばかりだ。

 ⇒多くの植物の果実は、野鳥類に種子を遠くまで運んでもらうことが、
  そもそもの目的だったはずだが、虫えいの中にいるのはタマバチの幼虫で、
  成虫になれば、自分の翅で自由に飛び回れるはずだ。








多分バラハタマフシ
イメージ 4
2018年7月1日 弘前市・青森

このように突起が長くなり、金平糖に似た形態のものには、
寄居蜂(キキョバチ?)が見られることが多いとされる。

 ⇒前出の「虫こぶハンドブック」によると、
  寄居蜂は、形成者と近縁のハチであることが多く、
  形成者より発育が良いと虫えいを変形させたり、
  結果として、形成者を殺してしまうこともある。
  また、オナガコバチなどの通常の寄生蜂も知られているようだ。








そして、衝撃の事実が発覚!!!


多分バラハタマフシ
イメージ 5
2018年7月14日 弘前市・青森

この写真は、冒頭1枚目の写真と同じ場所を、
4日後にもう一度撮ったものである。

 ⇒わずか4日しか経過していないのに、見た目の雰囲気は、
  同じ場所であるとは思えないほど変化していた。





もう少し、詳細に見てみよう!!


バラハタマフシ(4日間の成長)
イメージ 6
左: 撮影2018年7月10日 弘前市・青森
右: 撮影2018年7月14日 弘前市・青森

大きく変化した虫えいの最も分かりやすい部分をトリミング後、
左右に並べて直接比較してみた。


とりあえず、赤矢印の大きな白っぽい虫えいは落下して、すでに無くなっている。

 ⇒まさか野鳥類に食べられたのではないだろう。

続いて2個の青矢印の虫えいの成長の早さが、半端ではない。

 ⇒直径が3倍以上なので、体積にすれば30倍程度になっているはずだ。

その他にも、ちょっと分かりにくいが右側上部の虫えいの色変化(ピンク→赤)と、
同じく上部左側の形状の変化も見逃せない。

この変化が、わずか4日間で起こったなんて!?

 ⇒虫えいの専門家から見れば、当然のことなのだろうが、
  個人的には、ササの葉の一列の穴ができるまでの短さ以来の衝撃である。

   【ササの葉の不思議な穴(追加) 謎は解けたのか?】
      ↓   ↓   ↓
    http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150620/1/








このブログでは、枯れ葉や枯れ枝に擬態する虫たちを、沢山紹介してきた。

そんな虫たちは、最初は全く偶然に野鳥類が食べないもの(元生物?)に似ていることで、
餌になってしまう機会を、少しでも減らすことができたのだろう。

 ⇒そして、長い年月を経て、おそらく野鳥類との共進化(!)によって、
  例えばムラサキシャチホコのようなミラクル擬態が出来上がったのだと思う。



一方、このこととは全く逆に、植物体の一部が、実在の虫にそっくりである場合もありえるが、
もちろんこれは、全く意味がない自然のイタズラで、誰も損得を被らないのである。

 ⇒だから、当然のこととして、自然淘汰によるものではなく、
  偶然出来上がったその場限りの現象であると言えるだろう。

人間は、加齢と共に些細なことにでも感動してしまう傾向があるとは思うが、
今回の4枚の写真は、完全にそのパターンかもしれない・・・??






以下、まるで虫のように見える植物のある部分である。


シャクガ幼虫のような枯れ枝
イメージ 2
2017年9月25日 蔦温泉・青森

この写真を撮ったときは、全くお恥ずかしい話であるが、
大きなシャクガ類の幼虫だと思ってシャッターを押した。

 ⇒上部の形状が頭を持ち上げているシャクガ類の幼虫にそっくりで、
  しかも、ちょうど幼虫の長さ部分だけ、直射日光が当たって、
  そこから下は、偶然にも葉っぱの陰になって、見えにくくなっていたのだ。







シャチホコガ幼虫のような枯れ葉
イメージ 1
2018年6月3日 座頭石・青森

この写真も、シャチホコガの幼虫だと思って、喜んで(?)シャッターを押した。

頭部が垂れ下がって静止するシャチホコガの幼虫を、何度も見ているからだ。

 ⇒カメラのモニター画面で確認した後、枝を引き寄せて間近で見てから、
  ようやく、ただの枯れ葉(?)であることが分かった。







イモムシのような葉っぱの模様(食痕?)
イメージ 3
2018年5月4日 東海村・茨城

後から見ると、「どうして間違えたのか???」と思えるほどだが、
撮影時には珍しそうなイモムシにしか見えなかった。

 ⇒よくある「だまし絵」の手法のように、
  凹凸が逆に見える状況が確かに存在するのだ。
 
 
ただ、この不思議な物体が、どのように出来上がったのかは、
想像することさえできないし、右下の糞のように見えるものを気になる。
もしかしたら、虫の食痕かもしれないが・・・?







スズメガ幼虫のような新芽
イメージ 4
2018年5月21日 弘前市・青森

この写真も、遠くに見えるスズメガの若齢幼虫だと思った。

身体(?)の後半部の斜めの数本の線と、尾状突起が、
まさにスズメガ幼虫なのだが、サイズ的には若齢幼虫か・・・?






・・・こんなことは、
「単に虫マニアの、しかも私だけの思い込みだろ!!」
という批判に答えて、以下の写真(だけ!)を掲載します。

もちろん、細かすぎて伝わらない「モノマネ」だったりするのかもしれないが・・・




イメージ 5
左: シャクガ類の幼虫 白岩森林公園・青森(20120619)
右: 枯れ枝 蔦温泉・青森(20170925)





イメージ 6
左: シャチホコガ幼虫 安曇野・長野(20170914)
右: 枯れ葉 座頭石・青森(20180603)





イメージ 7
左: オカモトトゲエダシャク幼虫 白岩森林公園・青森(20120614)
右: 葉っぱの食痕 東海村・茨城(20180504)





イメージ 8
左: モモスズメ幼虫 白岩森林公園・青森(20110915)
右: 新芽 弘前市・青森(20180521)






今回の写真を改めて見直すと、例の「サティロス型擬態」の起源に関しても、
偶然にできた虫の翅や体の模様が人や動物の顔に見えるという現象が、
いかに簡単に出来てしまうのかが、なんとなく理解できる。

もちろん、人の顔のように見える天井のシミや、岩石・樹皮などの陰影も同じ状況だが、
その完成度(似ている程度)は、自然淘汰が働いていないので、雲泥の差がある。


一方のサティロス型擬態の場合には、必ずそれに反応する捕食者がいるので、
その個体は、多少とも生存の機会を増やすことができるのだ。
 
 ⇒その形質が子孫に受け継がれ(?)、より防御効果のある模様として、
  進化・定着していったのだろう。

【ヒマなときこそ擬態の話《7》 サティロス型擬態の信じられない話】
   ↓  ↓  ↓
 http://sallygenak.livedoor.blog/archives/2018-0129





・・・というわけで、蛇足!?

どこかで聞いたことがあるような文言だが、少なくとも私は、
ムラサキシャチホコを見つけても、枯れ葉だと思ってシャッターを押さない人間より、
 枯れ葉を見て、ムラサキシャチホコと錯覚してシャッターを押すような幼い人間

になりたいと、高齢者になってからでも、そう思うようになった・・・




このページのトップヘ