ちょっとだけ不思議な昆虫の世界(3)

今回で2度目の引っ越しです。 さりげなく(Sally Genak)虫たちの不思議な世界を紹介しています。

2019年01月


(前回からのつづきで、2013年以前に撮った写真です)




多分ミノオマイマイ雄 Lymantria minomonis minomonis
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2013年8月6日 道の駅風穴の里・長野

前翅は灰褐色で黒色の波形模様があり、見た目はノンネマイマイ【1】に似るが、
本種の翅がうすい褐色で、ノンネの翅は白色が強いようだ。
また、本種の方がやや南方系で、輪郭(前翅?)が丸みを帯びる。

 ⇒和名のミノオは、最初の発見地が大阪府箕面であることに由来する。


幼虫は、ブナ科のアラカシなどの葉を食べる。







マメドクガ Cifuna locuples confusa
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2013年8月2日 矢立峠・秋田

前翅は薄茶色ベースで、濃褐色の特徴的な模様があり他種との識別が可能だが、
この色彩には、雌雄を超えてかなりの個体差があるようだ。

 ⇒年に数回発生し、マメ科作物の害虫とされる。


見た目は恐ろしいそうな姿の幼虫には、毒針毛はなく、
マメ科以外にも、バラ科、イドウ、ニレ科など様々な植物の葉を食べる。








バンダイマイマイ Lymantria bantaizana
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2013年7月22日 矢立峠・秋田

外観は Lymantria 属特有の姿だが、前翅の内側に一対の短い黒筋があり、
これが重要な識別ポイントとなって、他種との識別が十分可能である。

 ⇒和名のバンタイ(学名も!!)は、福島県の磐梯山に由来するようだ。


幼虫はサワグルミ、オニグルミなどの葉を食べる。








ニワトコドクガ Topomesoides jonasii
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2013年6月12日 安曇野・長野

かなり特徴的な雰囲気の蛾なので、簡単に写真同定できる。
多くの場合、逆さに静止するよう(?)で、一見動物の顔に見える。

 ⇒全くの個人てな見解だが、完全な大人になっている娘たちも大好きな、
  有名な「キティちゃん」に、何となく似てるのか?


(以下は、ブログ開設初期の頃の記事で、動物の顔のように見える虫たちです)

 【これって擬態なの???】
   ↓   ↓   ↓
  http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130711/1/

 【これって擬態なの??? (原画!)】
   ↓   ↓   ↓
  http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130714/1/


幼虫は、カマツカやズミ、ブナ、ニワトコなどの葉を食べる。







スギドクガ Calliteara argentata
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2012年7月7日 だんぶり池・青森

前翅は灰色~茶褐色をベースにした蛾で、特徴的な模様には、多少の個体差があるようだ。

 ⇒フサフサの毛が生えた前脚を伸ばして静止する姿は、まさにドクガ科の蛾である。


派手なイメージの幼虫はスギやヒノキの葉を食べるが、毒針毛を持たない。








エルモンドクガ Arctornis l-nigrum ussuricum
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2012年6月21日 道の駅みしま・福島

前翅の中央に、学名にもなっているL字型の模様がある真っ白な蛾である。

 ⇒ネット情報では、英国ではこの模様をV字型としているようだが、
  私には、ブーメラン型に見える。


幼虫は、ケヤキやハルニレの葉を食べる。




(以上、18種のドクガ科の蛾でした)







(前回からのつづきで、2018年以前に撮った写真です)




キドクガ 'Euproctis' piperita (➡ Kidokuga piperita )
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2018年8月1日 道の駅みわ・茨城

全身淡い黄色で、中央に薄茶色の特徴的模様があり、毛深い(?)脚を持つ。

 ⇒よく似た種が3種(ドクガ、チャドクガ、ゴマフリドクガ)いるが、
  いずれも微妙な翅の模様の違いがあり、識別可能である。

上記の学名は、ネットの「みんなで作る日本産蛾類図鑑」によるものだが、
1999年に分類の見直しがされて、新しい属 Kidokuga が設定された【注】

 ⇒新属名の Kidokuga は、和名がそのまま属名になっている珍しい例である。


幼虫は、様々な樹木の葉を食べる。


【注】ネット情報によると、2011年初版の【日本産蛾類標準図鑑II】では、
   上記の Euproctis 属 8種の属名は、
   それぞれ モンシロドクガ(Sphrageidus属)、トラサンドクガ(Kidokuga属)、
   ゴマフリドクガ(Somena属)、キドクガ(Kidokuga属)、ドクガ(Artaxa属)、
   チャドクガ(Arna属)、フタホシドクガ(Nygmia属)、
   マガリキドクガ(Nygmia属)となっており、
   Euproctis属のままの種は存在しない。








チャドクガ Arna pseudoconspersa
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2017年10月18日 東海村・茨城

前翅の白い内・外横線が特徴的で、名前のとおりやや茶色が強く出る。

 ⇒いや、和名は、もしかしたら茶の害虫であることに由来するのかもしれない。


前種の【注】にあるように、属名が Euproctis 属 から変更されている。

日本では代表的なドクガとされ、幼虫が園芸植物に被害を与え、
毒針毛に触れて被害にあう人が多い。


幼虫はツバキ科のチャ、ツバキ、サザンカなどの葉を食べる。








モンシロドクガ Sphrageidus similis
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2016年8月25日 矢立峠・秋田

前翅は真っ白で、後縁部に薄い茶色の紋があるが、まれに無紋の個体もいる。
全身(脚や翅)にも白い毛が生えている。

 ⇒ヒトリガの仲間にも雰囲気が似ているが、全身の毛で識別可能。


幼虫は、サクラ、ウメ、バラ、クヌギ、コナラ、クワ、ナシ、
リンゴなどの葉を食べるが、毒針毛を持つので注意が必要である。

 ⇒くどいようだが、同じチョウ目のドクチョウ類と違って、
  ドクガ類の体内には有毒成分(不味成分)は含まれていない。
  幼虫時代に持っている毒針毛に由来する和名であるが、
  その毒針毛があるのは、本種も含めて、わずか数種類だけである。









アカヒゲドクガ Calliteara lunulata
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2016年8月24日 城ヶ倉・青森

背中にある2個の黒点がげ目立ち、さらに両端(前縁)に3連の黒い輪があり、
他種のドクガ同様に、全身にふさふさの毛が生えた大型の蛾である。

 ⇒和名の由来は、触角(ヒゲ?)が赤いことのようだが、
  残念ながら、この写真でははっきり分からない。


幼虫は、見た目は恐ろしいが無毒で、クヌギやコナラなどの葉を食べる。








キアシドクガ Ivela auripes
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2014年7月7日 黒松内・北海道

真っ白な翅の蛾で、この写真では分かりにくいが、脚が橙黄色であり、和名の由来とされる。

北限のブナ林を見に訪れた北海道で、最初に出会ったときには、
大集団となって飛翔する姿が、かなりの衝撃だった。

 ⇒キャベツ畑の上を飛び回る、沢山のモンシロチョウのようにも見えたが、
  その数と迫力は問題にならないほどで、しばらくの間、
  何もできずに見つめていた不思議な光景だった。


(詳細は、以下の過去記事をご覧ください)

【キアシドクガの乱舞】
  ↓  ↓  ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140715/1/


幼虫は、ミズキやクマノミズキの葉を食べる。








リンゴドクガ Calliteara pseudabietis
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2014年6月5日 矢立峠・秋田

灰色で、前翅中央部に太い灰色の横線があり、脚は長い毛で覆われる。

特異な姿かたちの幼虫は、クリ、クヌギ、コナラ、リンゴ、サクラ、ヤナギなど
さまざまな広葉樹の葉を食べるが、毒針毛は持たない。


(実際の幼虫の写真は、以下の過去記事でご覧ください)

【ピンクの衝撃!! リンゴドクガ幼虫】
    ↓   ↓   ↓
 http://sallygenak.livedoor.blog/archives/2017-1006




(次回につづく)




ドクガの仲間は比較的大型の蛾で、多くは前脚を前方に伸ばして静止する。
また、翅の模様が特徴的なので、比較的写真同定しやすいと思う。

 ⇒ただ、名前はドクガ(毒蛾)と付いているのだが、
  後述のように、予想外に毒を持つ種が少ない。

 ⇒さらに、同じチョウ目のドクチョウ(毒蝶)類と違って、
  成虫の体内に毒を持つ種類はいないようだ。
  ただ、幼虫期の毒針毛が蛹や成虫(蛾)似も付着する例もある。
  
    
 


今回は、雌雄の写真が撮れている6種から紹介したい。


マイマイガ Lymantria dispar japonica
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左(雄): 2013年9月7日 志賀坊森林公園・青森
右(雌): 2013年8月3日 道の駅喜多の郷・福島

雌雄で明らかに色彩や模様、大きさが異なることが知られている。
左の雄は、開張55mm前後で、黒色~褐色など暗色系になり、
右の雌は、開張80mm前後で、ほぼ白色で臼井褐色の模様が入る。

 ⇒森林害虫として世界的に有名なマイマイガだが、
  生息地域(国?)により、多数の亜種に分類されるようだ。

 ⇒約10年周期で大発生を繰り返す性質があるとされ、
  写真右の産卵する雌の撮影時(2013年)は、
  このような集団で産卵する様子があちこちで見られ、
  おそらく大発生のピーク年だったのかもしれない。


(雌雄で見た目の違いについては、以下の記事をご覧ください)

 【本当に同種なの?【1/9】・・・性差(性的二形)】
   ↓   ↓   ↓
  http://sallygenak.livedoor.blog/archives/2017-0105


幼虫は、サクラ、リンゴ、ナシ、モモ、クヌギ、ハンノキ、ヤナギなど、
様々な樹木の葉を食べる。









カシワマイマイ Lymantria mathura aurora
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左(雄): 2018年8月12日 道の駅みわ・茨城
右(雌): 2011年8月8日 裏磐梯・福島

カシワマイマイは、上のマイマイがと同様に、雌雄の色彩やサイズが異なり、
左の雄は黒っぽく開帳50mm前後で、雌は白っぽく開帳85mm程度である。

 ⇒他種の白色系の雌と多少とも識別しにくいが、
  カシワマイマイの場合は、脚の先端付近が赤いので、
  よく見れば写真同定が可能である。


幼虫は、ブナ科やバラ科の各種植物の葉を食べる。








ノンネマイマイ Lymantria monacha
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左(雄): 2016年8月24日 城ヶ倉・青森
右(雌): 2014年8月19日 木賊峠・山梨

ノンエマイマイは、前2種と異なり、雌雄ともに翅は真っ白で、やや小型の種である。

和名の「ノンネ」は、ドイツ語の「Nonne」で尼僧または修道女の意味であり、
学名由来ではないようだが、ヨーロッパではこの名で呼ばれるようだ。

 ⇒餌植物からも想像されるように、比較的涼しいところに生息する。


幼虫は、ブナやシラカバ、トウヒ、モミなどの葉を食べる。









シロオビドクガ Numenes albofascia albofascia 
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左(雄): 2018年8月1日 道の駅みわ・茨城
右(雌): 2012年8月22日 十石峠・長野

左の雄の写真は、撮影時にはホタルガだと思ってシャッターを押したが、
よく見ると頭部付近が全く異なる(頭部が赤くないし、脚は毛深い!)。

 ⇒右の雌は、まるで別種のような模様だが、
  この子にも、よく似てる種がいる。
  (今思いつくのは、アミメオオエダシャクしかないが・・・)


さてさて、シロオビドクガの雄は、有毒種のホタルガに、
そっくりなのは間違いないにしても、それが、
ベイツ型擬態なのか、またはミュラー型擬態なのか、
さりげなく悩ましいところである。

 ⇒本種の幼虫時代には毒針毛を持つという情報もあるようだが、
  成虫(蛾)の鱗粉に付着しているだけなのだろう。
  

現時点で、幼虫の食餌植物は不明のようである。







ヒメシロモンドクガ Orgyia thyellina
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左(雄): 2017年10月9日 浅瀬石ダム・青森
右(雌): 2016年8月3日 矢立峠・秋田

雌雄がまるで別種のように見える蛾で、左の雄は黒っぽく、右の雌は白っぽく見える。
サイズも若干異なり、雄が21~29mm、雌が30~42mmとされている。

 ⇒和名のシロモン(白紋)は、当然雄に由来するようで、
  雌は全く逆のクロモン(黒紋)であり、ちょっとだけややこしい(!?)。


幼虫は、様々な植物の葉を食べるようである。








ドクガ Artaxa subflava
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2013年8月2日 矢立峠・秋田

雌雄の写真が撮れた種の最後は、交尾中のドクガ(種名!)である。
ただし、雌雄の差はほとんどなく、いずれも翅は黄褐色で、やや濃色の帯がある。

 ⇒名前のとおり、2齢以降の幼虫には毒針毛があり、冒頭で述べたように、
  成虫や蛹にも幼虫の毒針毛が付着していることがあるので要注意。
  ただし、ドクガ科の中でも、チャドクガ、モンシロドクガ、キドクガ、
  ゴマフリドクガなど、数種のみが毒針毛を持っているだけのようだ【注】

 ⇒この子は、種名と科の名前が同じなので、やはりナミドクガなのか?


幼虫は、サクラ、カキ、コナライタドリなどの葉を食べる。




【注】毒針毛と聞くと、長い毛だと思っている人も多いかもしれないが、
   実際には、長さが0.1~0.2mm程度の短い毛で、
   幼虫の背中の一部(毒針毛叢生部)に存在する。
   これらの毒針毛は、幼虫脱皮のたびに新しく作られ、
   古いものは脱皮殻に付いたまま脱ぎ捨てられる。
   だから、蛹や成虫、さらには卵にまで付着するのだ。



(次回につづく)






昨年から「光に誘引された蛾」の話が続いていますので、しかも今後も続く予定ですので、
合間を狙って、気分転換の記事をシリーズで書きたいと思います。

 ⇒でも、今の時期は、新しい虫たちの写真を撮ることができません。

・・・なので、基本スタンスとしては、自画自賛(?)の既出写真を選び出して、
何らかの基準で選択・再編集した「何か選抜ベスト5」シリーズになれば、
と思っていますので、見たことのある写真が多いかもしれませんがご理解ください。




第1回目は、全く個人的な感想ですが、「ちょっとだけ不思議で奇妙な虫たち」です。





最初は、惜しくもランク外となった2種です。


ミノウスバ(左)とオビガ幼虫(右)
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左: 2014年9月27日 白岩森林公園・青森
右: 2017年7月19日 矢立峠・青森


上の2種でさえ、選択外となってしまうほどの「奇妙な虫たち」があと5種います!!!!





では、第5位から順に掲載します。


第5位: ベッコウハゴロモ幼虫(ベッコウハゴロモ科)
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2013年7月30日 だんぶり池・青森

胴体の後端にある、大きく開いた真っ白な「やぶれ傘」は、かなりの迫力です。
しかもこの傘は、ある程度向きを変えたり、開き加減を調整することができます。

 ⇒白い綿毛のような素材は、もちろん、
  幼虫が分泌したワックス成分なのです。


(詳細は、以下の過去記事をご覧ください)

【もう一度! ベッコウハゴロモ幼虫】
   ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140125/1/








第4位: エグリトビケラ卵塊(エグリトビケラ科)
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2013年9月13日 だんぶり池・青森

だんぶり池のあぜ道にあるアメリカセンダングサの葉っぱの上に、
あまり素手で触りたくないブヨブヨのかたまりがありました。

 ⇒エグリトビケラの雌成虫によって、
  葉っぱの表面に産み付けられた卵塊は、
  雨が降ると水分を吸って膨らんで、
  このようなゼラチン状になるようです。

トビケラ類は、幼虫時代を水中で過ごすので、
葉っぱの上でふ化した幼虫は、水面に落下します。


(詳細は、以下の過去記事をご覧ください)

【何これ?! 多少不気味??? (エグリトビケラ卵)】
   ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130923/1/









第3位: オオトリノフンダマシ(コガネグモ科)
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2017年9月2日 だんぶり池・青森

まるで、カマキリの頭部だけを切り取ったような不気味な虫です。

この子は、オオトリノフンダマシというクモの仲間ですが、
名前だけを聞くと、鳥の糞に擬態している印象を与えます。

 ⇒しかし、日本には4種のトリノフンダマシの仲間がいますが、
  全ての種が鳥の糞に擬態しているとは言えないのです。


(詳細は、以下の過去記事をご覧ください)

【本当に鳥の糞擬態?? オオトリノフンダマシ】
    ↓   ↓   ↓
 http://sallygenak.livedoor.blog/archives/2017-1120









第2位: ヒモワタカイガラムシ(カタカイガラムシ科)
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2017年5月13日 室戸市・高知

四国の16番札所金剛頂寺の駐車場のエノキの枝に、
結び付けられた「おみくじ」のような不思議な虫を見つけました。

 ⇒褐色の楕円形の部分が、カイガラムシ雌成虫の本体で、
  白色のリングは、白色の分泌物質で覆われた卵嚢なのです。


(詳細は、以下の過去記事をご覧ください)

【不思議な白い輪の正体は? ヒモワタカイガラムシ】
    ↓   ↓   ↓
 http://sallygenak.livedoor.blog/archives/2017-0702









第1位: ババシロアシマルハバチ幼虫(ハバチ科)
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2017年7月19日 矢立峠・青森

最初に見つけたときは、鳥の糞か、糸状菌に感染した死体に見えましたが、
すぐに動いている幼虫らしいことが分かりました。

 ⇒餌植物がヤブデマリ(スイカズラ科)であることから、
  この子は、ババシロアシマルハバチの幼虫であることが判明しました。


(詳細は、以下の過去記事をご覧ください)

【もう一度!! ババシロアシマルハバチ幼虫】
    ↓   ↓   ↓
 http://sallygenak.livedoor.blog/archives/2017-0729




・・・と言わけで、

何故か、植物成分のワックスを利用している虫たちが、
奇妙な虫たちベスト5に3種もランクインしたのです。







(前回からのつづきです)




ヒメキシタヒトリ北海道亜種 Parasemia plantaginis jezoensis
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2014年7月5日 層雲峡・北海道

黒地に真っ白な斑紋があり、その形状の違いにより、亜種に分けられるようだ。
頭部の両側には、オレンジ色の短い毛が僅かに見える。

 ⇒この子は北海道で撮影されたので、北海道亜種と言うことになるが、
  もしかしたら、光に誘引された個体ではないかもしれない。


幼虫の食草は、オオバコやセンソウ、ワスレナグサなどが知られている。







フタスジヒトリ Spilarctia bifasciata
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2014年6月21日 矢立峠・秋田 

前翅は、うす黄色で、(あまりうまい表現とは言えないが)
両手両足を思い切り伸ばした赤ちゃんのような、黒い模様がある。

 ⇒同じ Spilarctia 属の近縁種は、亜種も含めて他に9種いるが、
  いずれも、黒い斑紋の違いにより、識別できるようだ。
 
 
幼虫は、カイコと同じクワの葉を食べる。








ゴマダラベニコケガ Barsine pulchra leacrita
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2013年7月21日 矢立峠・秋田

うす橙色の地に、濃褐色の3本の点線で分断された赤色のタテスジ模様があり、
同属の近縁種スジベニコケガ【1】に似るが、以下の特徴で識別可能だ。

 ⇒中横線(青矢印)は、本種はほぼ一直線であるが、スジベニでは途中で曲がる。
  外横線(白矢印)は、本種は点の列になるが、スジベニでは縦線の列となる。
 
ちなみに、幼虫時代には、地衣類や各種の落葉を食べるとされるが、
ネット検索しても、幼虫の写真は見つからない。
もしかしたら、微妙な有毒成分がある可能性もありそうだ。







多分アカハラゴマダラヒトリ Spilosoma punctarium
イメージ 56550
2013年6月16日 志賀坊森林公園・青森

最近のネット情報によると、どうやら、腹の色だけでは識別できないようだ。
前脚の付け根付近の色が、アカハラゴマダラヒトリは例外なく赤色となる。

 ⇒上の写真には、かろうじて前脚が写っており、確かに赤い!!
 

幼虫は、サクラ、ナシ、クワなどの葉を食べる。








モンクロベニコケガ Stigmatophora rhodophila
イメージ 6
2012年8月3日 道の駅みしま・福島

前翅の地色はうす黄色で、前縁から外縁にかけて赤色で縁どられ、
黒色の内横線と波型の外横線がはっきり見える。

 ⇒ただ、稀に横線も含めすべての斑紋が消失した個体も出現するという。


幼虫は、地衣類を食べる。








フトスジモンヒトリ Spilarctia obliquizonata
イメージ 7
2012年6月28日 新島々・長野

前翅の地色は白色で、分断された太い線がほぼ全面を斜めに走る。
同属の近縁種スジモンヒトリ【1】は、前翅の地色はうす黄色で、
斜線は、明らかに細いか、消えかかっている。

 ⇒同属の近縁種が数種いるが、いずれも斑紋(斜線?)で識別可能だ。


モコモコのケムシである幼虫は、オオハンゴンソウ、ムラサキシキブ、
クワの葉などを食べるが、いずれも微妙な有毒植物だと思う。

【虫たちの親子-47 フトスジモンヒトリ  】
  ↓   ↓   ↓
 http://sallygenak.livedoor.blog/archives/2017-0204

 当然のこととして、フトスジモンヒトリ幼虫を見かけたら、
 触っても大丈夫だが、間違っても食べてはいけない!!!!







多分ツマキホソバ Eilema laevis
イメージ 8
2012年6月26日 道の駅万葉の里・群馬

前翅は、全体的にうす黄色であるが、頭部付近と翅の先端が濃い黄色になる。
同属の近縁種が数種おり、ムジホソバとの識別が難しい。

 ⇒ネットの「みんなで作る日本産蛾類図鑑」の本種雄の写真が、
  よく似ていたので、多分ツマキホソバとした。


幼虫は、地衣類を食べる。








ヒトリガ Arctia caja phaeosoma
イメージ 1
2011年8月31日 城ヶ倉・青森

前翅は、暗褐色の地に白の線模様があり、後翅は赤色地に黒い斑紋が並ぶ。
他種に見られない特異な模様なので、発見直後に種名が分かる。

 ⇒後翅は、前翅に隠されており、飛び立つ直前に見えるので、
  捕食者の攻撃を、一瞬躊躇させることができる。


なお、ネットの「ウィキペディア」によると、ヒトリガの項目には、
「本種は有毒なので、後翅のこの目立つ紋様は天敵に対する警戒色と考えられる」
と記載されているが、実際には「毒針毛」はないので、手で触れても問題ないし、
いわゆる警戒色の範疇には入らないような気がする。

 ⇒同じくネット情報では、ヒトリガ科で毒針毛を持つのは、
  ヤネホソバとツマキホソバの2種とされる。


しかし、モコモコのケムシである幼虫は、クワ、微妙な有毒植物の葉を食べるので、
野鳥類は、以下の記事にあるように、捕食することはなさそうである。

【ヒトリガ  誰でも知っている(?)秘密 】
  ↓   ↓   ↓
 http://blogs.yahoo.co.jp/sallygenak/archive/2016/9/11

 常夜灯に早朝訪れると、街灯の下の植え込みや下草部分に、
 帰りそびれた沢山の蛾の仲間が見られる。
 多くは、カラスや他の野鳥類の餌食になってしまうのだが、
 よく目立つヒトリガは、全く傷ついた様子もなく、新鮮な個体が見つかる。







多分キマエホソバ本州以南亜種 Eilema japonica japonica
イメージ 9
2011年6月22日 白岩森林公園・青森

前翅は、灰褐色で前縁(周囲!)には淡黄色の縁取りがある細長い蛾で、
同属の近縁種が数種おり、個体変異もあって、いずれも写真同定は難しい。

 ⇒ネットの「みんなで作る日本産蛾類図鑑」を見ても、
  未同定種の写真が並んでいて、同定の困難さが分かるが、
  本種によく似た写真が掲載されていたので、
  写真タイトルに「多分」を付けて、暫定同定とした。


幼虫は、地衣類を食べて育つ。



(以上で、25種のヒトリガ類は終了です)





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