ちょっとだけ不思議な昆虫の世界(3)

今回で2度目の引っ越しです。 さりげなく(Sally Genak)虫たちの不思議な世界を紹介しています。

2019年10月


基本的にチョウを撮ることは少ないが、偶然葉っぱの上に静止していたり、
目の前を優雅に飛んでいれば、さすがに無視するわけにもいかないので、
静止場所まで移動して、さりげなくシャッターを押したりする。

今回は、こんなことは滅多に起こらないことなのだが、
(・・・と言うより、奇跡的な偶然が重なって!!)、
普段はほとんど見かけないシジミチョウが、
30分ほどの間に、何と4種類も目の前に現れたのだ。




以下、撮影順に4種の写真、今回は撮影時刻も!!


ウラナミアカシジミ(シジミチョウ科) 
SK-2542a
2019年7月29日06時45分 座頭石・青森

最初に見かけたのは、翅の裏面が複雑な模様のやや珍しいウラナミアカシジミ。
アカシジミと言うより、オレンジ色をベースにしたシジミチョウで、
後翅の先端(?)は、より濃いオレンジ色で、黒い尾状突起の先端は白い。

ネット情報: ウラナミアカシジミ Japonica saepestriata
年1化で、成虫は初夏(北国では真夏?)にのみ出現する。
幼虫は、ブナ科植物の葉を食べる。




今回紹介する4種のシジミチョウの仲間は、いずれも後翅後端に、
尾状突起を持っているが、一体どんな意味があるのだろうか?

先端が白くなった2本の尾状突起が、まるで触角のように見え、
その付け根にある黒い点は、目を連想させる。
また、翅の裏面にある点線のようなしま模様が、その部分に集まり、
近づくと、その2本の突起を、ゆっくり交互に(触角のように)動かす。
多くの捕食者は、おそらく写真の左方向に飛び立つと予測するので、
予測が全く外れてしまうのだ・・・(多分?)。
さらには、頭を一撃で狙う捕食者は、頭部のような黒い点を攻撃するが、
その部分は、生存に直接損傷を与えるような急所ではない。

 (以下の記事に写真が沢山ありますので、ご覧ください)
 
 【虫たちの生き残り戦略⑲ 捕食者を欺く(5) どっちへ逃げる】
       ↓   ↓   ↓
  http://sallygenak.livedoor.blog/archives/2017-0516









オナガシジミ(シジミチョウ科)
SK-2554a
2019年7月29日06時58分 座頭石・青森

次は、やはり比較的珍しい(と思われる)オナガシジミ。
前後翅の裏面は、白地に黒い斑点模様で、後翅後縁がオレンジ色。
名前のとおり、尾状突起はやや長く、先端は白色である。
近縁の水色オナガシジミやウスイロオナガシジミとは、
後翅の裏面外縁部のオレンジ斑が前翅にもあるので識別可能である。

ネット情報: オナガシジミ Araragi enthea
年1化で、成虫は暖地で7月、寒冷地で7~8月に出現する。
幼虫は、オニクルミなどの葉を葉を食べる。







アカシジミ(シジミチョウ科)
SK-3304a
2019年7月29日07時05分 座頭石・青森

3番目に出会ったのが、青森県の一部で大発生することで有名なアカシジミ。
名前はアカシジミであるが、翅の色は雌雄ともオレンジ色がベースで、
翅の裏面には、白帯で縁取られた褐色の帯がある。

ネット情報: アカシジミ Japonica lutea
年1化で、成虫は暖地で5~6月、寒冷地で7月に出現する。
幼虫は、ブナ科植物の葉を葉を食べる。








トラフシジミ(シジミチョウ科)
SK-3314a
2019年7月29日07時18分 座頭石・青森

最後は、車に戻ってエンジンをかけたときに、飛んできたトラフシジミ。
運転席から見ると、変色したアカシジミの見えた。
しかし、何となく不思議な予感・・・?!
念のため車を降りて、止まるまで追いかけた。

 ⇒葉っぱに止まる瞬間を偶然見ることができたのだが、
  着陸した直後に、向きを変えたような気がした。
  また、垂直の面にとまるときは、頭を下に向けて、
  尾状突起を触角のように動かしたりするようだ。

帰宅後、パソコンの画面で見ると、全く別のトラフシジミであることが分かった。
翅の裏面は、むしろうすい焦げ茶色ベースで、やや濃い灰色のしま模様があり、
後翅の後縁にオレンジ斑と尾状突起を持つ。

ネット情報: トラフシジミ Rapala arata
年2化(寒冷地は1化)で、成虫は暖地で3~8月、寒冷地で7月に出現する。
幼虫は、バラ科、マメ科、ユキノシタ科などの植物の葉を食べる。




・・・というわけで、2度と経験できないような一日でした。







先日、弘前大学で開催された日本昆虫学会に出席のため、
会社員時代の先輩N博士が、徳島から来られたので、
近くの虫(ハサミムシ!)がいそうな場所を案内した。

しかし、幸か不幸か、あるいは普段の心掛けなのか、
ハサミムシに出会うことはなく、その代わりに、
動物、昆虫、植物の代表的な(?)危険生物に、
次々と遭遇することになった。





最初は動物・・・


ニホンマムシ(クサリヘビ科)
SK-2847a
2019年9月16日 志賀坊森林公園・青森

落ち葉の中にいるハサミムシを探していたN氏が、最初に驚きの声を上げた。
何と目の前にマムシがいて、ゆっくりと(!)逃げ出すところだった。

 ⇒数年に一度は、見かけることがある毒蛇だが、
  写真に撮ったのは、今回が最初である。






次は植物・・・


トリカブト(キンポウゲ科)
SK-2851a
2019年9月16日 白岩森林公園・青森

林道の奥に、うす紫色の見覚えのある猛毒の花が!!
この付近で例年見かけるのだが、今回は1株だけだった。

 ⇒しかし、毎年見かける数が少なくなっているのは、
  誰かが目的もなく(!?)、採集しているからだろうか?






最後は昆虫・・・


キイロスズメバチ(スズメバチ科)
SK-2854z
2019年9月16日 白岩森林公園・青森

N氏が使用している青いゴム手袋に近寄ってきて、
その付近を不気味に飛び続けているキイロスズメバチ。

刺激しないようにさりげなく追い払うが、逃げる気配がなく、
ついに、N氏の腕に止まったのだ。

 ⇒このまま観察を続けることもできないので、
  最後の手段として、車に戻り捕虫ネットで捕獲した。
  





おまけは、見た目だけが危険・・・?


ギンリョウソウ(ツツジ科)
SK-2842a
2019年9月16日 志賀坊森林公園・青森

最初のマムシがいた場所から数mのところで発見。
見た目はかなり不気味だが、もちろん毒草ではない。

 ⇒しかし、直接触ろうという気にはならない。





・・・というわけで、2度と経験できないような一日でした。





この記事のタイトルを、「もうすぐ サンタクロースがやってくる」か
または「早く来すぎたサンタクロース」にするか迷ったのだが、
結局、前者の案にに落ち着いた。

・・・どっちにしても、昔の歌のタイトルのパクリ(=擬態!)。

北国では、10月になると暖房器具が必要になり、
もうすぐ、サンタクロースがやってくるかなと思っていたら、
いつものだんぶり池で、さりげなくサンタクロースに出会った。





                     





サンタクロース(?)
SK-3351b

2019年9月4日 だんぶり池・青森

まさに、テレビの子供向け番組に出てくる仮装したサンタクロース!!!

 ⇒実は、子供たちがまだ幼稚園に通っていた頃の話なのだが、
  当時は、サンタクロースが実在すると思っていたらしく、
  クリスマスの夜、興奮して眠れない子供たち(3人)に、
  「あれ! トナカイが引くソリの音が聞こえた!!」
  とか言って、翌朝プレゼントを枕元に置いていた。
  
  ・・・しかし、中学生になった頃の長女曰く、
  「サンタクロースはいないって知っていたけど、
  知らないふりをしていただけ!」だって!?







ひょっとして浦島太郎(?)
SK-3349b

2019年9月4日 だんぶり池・青森

もうひとつ、子供心にも絶対にありえないと思っていた話で、
竜宮城の乙姫様からもらった玉手箱を、さりげなく開けてしまった浦島太郎かも?!

普通に見かける近所のおじいさんのようでもあるし・・・







ツマグロオオヨコバイ(オオヨコバイ科)
SK-3350aa
2019年9月4日 だんぶり池・青森

正体は、ヨモギの葉裏にいた「病死したツマグロオオヨコバイ」で、
もちろん写真を細工したわけではない。

糸状菌(多分ボーベリア)感染個体で、白い綿毛のように見えるのは菌糸である。

 ⇒このように、体内から菌糸が出てくる場合には、
  関節などのクチクラが少ない部分からなので、
  真っ黒な目玉の部分を取り囲むようなるのだ。


この時期には、バッタの仲間が糸状菌に感染して死亡した個体がしばしば見られる。

【病死した虫たち①】
 ↓  ↓  ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20141001/1/

(もちろん、サンタクロースにはなりません!!)






ツマグロオオヨコバイ(オオヨコバイ科)

SK-3349a
2019年9月4日 だんぶり池・青森

実際には、こんなイメージで発見したもので、パソコンで拡大して、
サンタクロースか浦島太郎かと思ったのだ。







ツマグロオオヨコバイ(オオヨコバイ科)
SK-3347a
2019年9月4日 だんぶり池・青森

このように、横から見ると、腹側一面に菌糸が出ているのが分かる。
子供には見せたくない、ちょっとだけ恐ろしい雰囲気だが・・・



それにしても、やっぱり「ちょっとだけ不思議な昆虫の世界」だ。








約2ヶ月に渡って,、隔日に記事にしてきたMMT(2019)シリーズも、
ついに、ブログネタがなくなって、今回が最後となります。





名前のとおり、全身が真っ黄色の小さなテントウムシがいる。

ただ、あまり個体数が多くないようで、私は初めての出会いだと思うが、
もしかして、小さすぎて見逃している可能性もあるのかもしれない。




キイロテントウ(テントウムシ科)
SK-2744a
2019年8月24日 西蔵王・山形

確かに、前翅には何の模様もなく、ただただ黄色である。

このテントウムシ、実はいろいろな特徴を持っているので、
順番に紹介していくが、大した特徴ではないのであしからず・・・






とりあえずは、テントウムシにしては、かなり小さな体なのだ。


キイロテントウ(テントウムシ科)

SK-2743a
2019年8月24日 西蔵王・山形

この写真で見ても、どんだけ小さいかが分かる。

具体的には、普通のナナホシテントウの体長は8mm前後なのだが、
キイロテントウはその半分ほどの4~5mm程度なのだ。
 
 ⇒体長が半分と言うことは、面積(見た目?)は1/4になるので、
  その分だけ、見つけにくいということになる・・・?








2番目の特徴は、食性が変わっているのだ。


キイロテントウ(テントウムシ科)
SK-2747a
2019年8月24日 西蔵王・山形

よく知られているように、テントウムシの仲間の食性は、
アブラムシなどを捕食する肉食性の種と、
植物の葉っぱを食べる食食性の種がいる。

しかし、何とキイロテントウは、成虫・幼虫ともに、
植物につくウドンコ病菌などの菌類を食べるのだ。

 ⇒この性質をうまく利用して、大量に飼育すれば、
  アブラムシやカイガラムシなどの農業害虫を捕食するテントウ類と同様に、
  生物農薬の可能性も検討されているようだ。









3番目の特徴は、迷信の多い虫でもある。


キイロテントウ(テントウムシ科)
SK-2746a
2019年8月24日 西蔵王・山形

もともとテントウムシは、幸福や恋愛などについて、縁起の良い虫として、
日本の各地で昔から言い伝えられている。

そのためか、結婚式などでもテントウムシを題材にした歌が人気である・・・昔(?)

 ⇒ただ、イラストや写真でみる限り、その多くは、
  ナミテントウやナナホシテントウのような赤い種類である。


そこで、このキイロテントウが別格として登場したようだ。

実は、このキイロテントウを見かけると、その人に、
より大きな幸せが訪れると言われている。

赤いテントウよりも、キイロテントウはもっと幸運なのだ。

 ⇒地方によっては、キイロテントウを家の中で見かけたり、
  体に止まったりしたときに、例えば宝くじに当たったとか、
  大きな幸運が訪れたという実話もあるようだ。
  





キイロテントウ(テントウムシ科)
SK-2745a
2019年8月24日 西蔵王・山形

かなり近づいてみたのだが、逃げる気配はなかった。
残念ながら、体に止まってくれることもなかった。







というわけで、キイロテントウは出会ったらラッキー!なのだが、
実は、よく似たやつもいるので、「ご利益がない!!」と思ったら別種を疑う?


ナミテントウ無紋型(テントウムシ科)
SG-8714a
2014年10月24日 玉川ダム・秋田

微妙に黄色のテントウムシをダムサイトで見つけたので、
「今日は良いことがある!」
と、一瞬思ったのだが、胸部の模様が違っていた。


こんなときは、車の運転を慎重に!!




初見の虫たちに出会うと、できる限り様々なアングルで写真を撮っておく。

およその仲間(目や科)が分かれば、帰宅後にネット検索をすると、
微妙な種を除いて、比較的簡単に種名が判明する。

 ⇒ところが、今回も初見の蛾は、科レベルでの予想(!)が、
  悉く(ことごとく)外れた。




????
SK-3168a
2019年8月20日 松本市・長野

梓川の堤防沿いにある雑草地で、見慣れない小さな蛾に出会った。
黄色と黒の良く目立つ模様が、阪神タイガーズのようだ(多分?)。

とりあえず何枚か写真を撮って、帰宅後にネットで名前を調べたが、
いつものように、およその仲間(科!)の予測ができなかった。

 ⇒最初は、ハマキガ科から調べたが、該当する種はなかったし、
  その他の小蛾類、シャクガ科やヒトリガ科まで検索したのだが・・・








キマダラコヤガ(ヤガ科)
SK-3170a
2019年8月20日 松本市・長野

加齢とともに、すぐに諦めてしまう若いときの癖(?)が出て、
いつものように、さりげなく友人K氏に写真をメールで送った。

すぐに、ヤガ科のキマダラコヤガであるとの返信が届いた。


・・・ヤガ科だって!?!?






キマダラコヤガ(ヤガ科)
SK-3174a
2019年8月20日 松本市・長野

常夜灯でも、ナイターでも見かけたことがなかった昼間飛ぶ蛾で、
まさか、ヤガ科だったとは・・・!!!

 ⇒K氏も昼間、河川敷で見かけたことがあるとのことなので、
  明らかな昼行性の蛾なのだろう。
  ただ、灯火採集で飛来した例もあるようだ。








キマダラコヤガ(ヤガ科)
SK-3177a
2019年8月20日 松本市・長野

ネット検索すると、全国に分布するが、産地は局所的であり、
例によって(表現は適当かどうか?)激減中の模様とのことだった。

 ⇒拡大して、このアングルから見れば、
  ヤガ科だと言われても、納得(?)できる。







キマダラコヤガ(ヤガ科)
SK-3176a
2019年8月20日 松本市・長野

幼虫の食草は、微妙な有毒成分を含むヒルガオ科植物とされており、
この黄色と黒色の色彩パターンは、明らかな警戒色である。

 ⇒葉っぱの表面の目立つ場所に静止していることが多いのに、  
  不味成分を学習した野鳥類は、この色彩パターンを覚えていて、
  2度と食べることないとされる。






この色彩パターンの蛾が別にいたような気がしていたが、
すぐにキンモンガが頭に浮かんだ。


キンモンガ(アゲハモドキ科)
SK-0277a
2018年5月14日 赤城山山麓・群馬

同じアゲハモドキ科のアゲハモドキは、有毒のジャコウアゲハにそっくりで、
一般的な考えとして、ベイツ型擬態とされている。

キンモンガは、キマダラコヤガに擬態しているのだろうか?




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