ちょっとだけ不思議な昆虫の世界(3)

今回で2度目の引っ越しです。 さりげなく(Sally Genak)虫たちの不思議な世界を紹介しています。

2020年06月


被写体となるような虫を見つけて、シャッターを押したときに、
小さな声で「良し!!」とか言ってしまうような、
あるいは、さりげなくガッツポーズをしてしまうような、
そんな嬉しい瞬間は、何故か突然やってきます。

 ⇒おそらく「ちょっとだけ不思議な虫たちの世界」では、
  まだ見たことがないような素敵な瞬間に、
  何度も巡り合うことが出来そうです。





以下、自画自賛のシャッターチャンスです。


オビカレハ幼虫集団(カレハガ科)
SK-4359a
2020年5月24日 芝谷地湿原・秋田

普通は、縦に整列した幼虫集団を見ることが多いオビカレハ幼虫ですが、
何故か今回は、うまい具合に丸くなって集団を形成していました。

 ⇒平たい葉っぱの上だからでしょうか?







エゾハルゼミ(セミ科)
SK-4592a
2020年6月12日 座頭石・青森

羽化したばかりの雌の動きが遅いので、正面から撮ることができました。

 ⇒このアングルでは、普通は逃げられてしまうはずです。
  もちろん、高い木の上で鳴いている雄を撮ったことはありません。








アワフキ幼虫(アワフキムシ科)
SK-4598a
2020年6月12日 座頭石・青森

最初は、カメムシの幼虫のようなイメージでしたが、歩き方がヨレヨレでした。
泡を取り去ったときのアワフキ幼虫に見覚えがありますので・・・

 ⇒通常は泡の中に隠れていますが、何らかの事故があったのでしょう。
  腹部の赤いアワフキ幼虫は、ホシアワフキかもしれません。








コメツキの仲間(コメツキムシ科)
SK-4626a
2020年6月14日 白岩森林公園・青森

実は、ギコチナイ(?)感じで、ノロノロと葉っぱを登っていったので、
飛ぶ瞬間が撮れるかもしれないと、カメラを構えて待っていました。

この翅を開いた瞬間(?)は、動きが止まるので(!)、
慣れてくれば、カメラの連写機能を使用する必要はありません。

 ⇒かろうじて見える上翅の模様から、
  コメツキは、サビキコリのようです。







ヤマトシリアゲ(シリアゲムシ科)

SK-4631a
2020年6月14日 白岩森林公園・青森

この子は何故かシリを上げすぎているので、最初に見つけたときには、
胴体がないのかと思うほどの大胆なポーズでした。

 ⇒いくら名前がシリアゲムシとは言え、
  反りかえるほどは、やりすぎでしょうか・・・?








この機会に、過去記事の中から選んだシャッターチャンス第2位の写真です。


オビガ幼虫(オビガ科)
SH-5698aa
2017年7月19日 矢立峠・青森

長い毛束を思い切り伸ばしたオビガの幼虫は、なかなか良い被写体で、
白・赤・黒・橙の4色とそれぞれの中間色が見事です。

【何か選抜ベスト5 ちょっとだけアート】
     ↓   ↓   ↓
 http://sallygenak.livedoor.blog/archives/2019-0411





この時期、お腹の大きくなったクルミハムシの雌成虫をよく見かけます。
たまに、後方に雄成虫がいて、交尾中のこともあるのですが・・・]

今回出会った雌成虫は、何と「産卵中」で後方に真っ白な卵が沢山見えました。

 ⇒これまでに何度も雌成虫に出会っていますが、
  実際に産卵しているのを見るのは、今回が初めてです。







クルミハムシ産卵中(ハムシ科)
SK-4653a
2020年6月20日 だんぶり池・青森

見事に、隙間なく白い卵が産み付けられています。

 ⇒まだ雌成虫のお腹は膨らんだままです。








クルミハムシ産卵中(ハムシ科)
SK-4658a
2020年6月20日 だんぶり池・青森

観察のため、近くに枝ごと葉っぱを引き寄せても、
全く動じることなく、産卵を続けています。

 ⇒写真の卵を、ざっと数えてみると、
  100個以上はありました。

多少シワが出来ていますが、雌成虫のお腹はまだ膨らんでいるので、
この倍くらいの卵を、これから産みそうです。
  








これだけの卵が一斉に孵化すれば、当然こうなりますね。


クルミハムシ孵化幼虫(ハムシ科)
SK-4652a
2020年6月20日 だんぶり池・青森

すぐ近くの葉っぱ(同じ木)には、すでに孵化した幼虫がいました。

 ⇒ハムシ類の幼虫は、このように集団で葉っぱを食べることが多いようです。 









クルミハムシ孵化幼虫(ハムシ科)
SK-4651a
2020年6月20日 だんぶり池・青森

葉っぱが白っぽくなっている部分は、幼虫が齧り取った食痕です。

 ⇒最初は、このように葉っぱの表面だけを食べるようです。 








クルミハムシ孵化幼虫(ハムシ科)

SK-4652aa
2020年6月20日 だんぶり池・青森

この調子で葉っぱを食べ続ければ、どうなるのかは容易に想像できます。









以前撮った写真ですが・・・


クルミハムシの食痕
SG-5706a
2012年7月21日 白岩森林公園・青森

これもまた、当然の結果ですね・・・(多分)









実は、ハムシの孵化幼虫については、未解決の記事があります。


ハムシの仲間の孵化幼虫
SG-8357a
2014年5月19日 だんぶり池・青森

食草や季節から考えても、おそらくコガタルリハムシの孵化幼虫だと思います。

 ⇒雰囲気的に、孵化直後の集団ではなさそうで、
  数卵塊の幼虫が、何らかの原因で一度分散してから、
  再びひとつの集団になったようです。
  何故こんなに折り重なるように集まっているのか、
  ちょっとだけ不思議なのですが、詳細は全く不明です。



【春の珍事?! ⑨ コガタルリハムシ孵化幼虫集団】
    ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140601/1/






前回に紹介したような注意深く歩きながら探さないと、
見つけることのできない小さな蛾と違って、普通に歩いていると、
必ず視覚に入る比較的大きな虫たちもいます。

 ⇒春に見かける虫は、葉っぱが新鮮できれいなので、
  見つけやすいいような気がしています。






以下の7種は、比較的簡単に出会うことができる「春の虫たち」です。


コサナエ(サナエトンボ科)
SK-4443a
2020年6月4日 だんぶり池・青森

春一番に羽化するサナエトンボの仲間だと思います。
その年の最初に見かけると、何故か安心します。

 ⇒そっと近づいても、敏感に飛び立ちますが、
  必ずと言って良いほど元の場所付近に戻ってきます。








キバラガガンボ(ガガンボ科)
SK-4459a
2020年6月5日 だんぶり池・青森

特徴的な翅のまだら模様が印象的なガガンボの仲間で、春に見られますが、
比較的稀な種のようで、私は数回しか出会っていません。
よく見かけるのは、よく似たイネ・ムギの害虫キリウジガガンボだと思います。

 ⇒蚊を大きくしたような印象ですが、血を吸うことはありません。








エゾハルゼミ(セミ科)
SK-4585a
2020年6月12日 座頭石・青森

雄が鳴いている写真は全く撮ることができませんが、早朝には、
羽化後間もない(テネラルではない!)個体に出会うことがよくあります。

 ⇒それにしても、一斉に鳴いているエゾハルゼミの迫力は、
  人の会話も聞こえないほどの南国のクマゼミの騒音や、
  夕暮れ近いカラマツ林で鳴くヒグラシの寂しさと違って、
  誰かが言ったと思いますが「山が鳴いている」ようです。







クチブトカメムシ(カメムシ科)
SK-4568a
2020年6月12日 座頭石・青森

よく似たクサギカメムシと違って、どこか上品な(?)雰囲気があります。

近縁種に珍品オオクチブトカメムシがいて識別は難しいのですが、
卵越冬なので、この時期に成虫がいることはありません。









以下の3種のカメムシは、春以外にも見られますが・・・


ヨツモンカメムシ(クヌギカメムシ科)

SK-4611a
2020年6月14日 白岩森林公園・青森

このブログの中で、何度も書いたかもしれませんが、ヨツモンカメムシは、
関東以西ではほとんど出会うことはありません。
しかも、カメムシ図鑑(第1巻?)には、掲載されていなかったのです。

 ⇒ただ、青森県内では、全く普通に見られます。







オオヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

SK-4628a
2020年6月14日 白岩森林公園・青森

カメムシの中で、国内で見られる最大級の種類だと思います。
だから、こんな感じで交尾中に出会うと、さりげなく迫力を感じます。








ベニモンツノカメムシ(ツノカメムシ科)
SK-4458a
2020年6月4日 だんぶり池・青森

この属(Elasmostethus)のツノカメは、腹部の背面の色が黒色の場合は、注意が必要ですが、
写真の個体は褐色なので、最も普通種であるただのベニモンツノカメムシです。

 ⇒腹部背面が黒色個体は、以下のように分類され、寄主植物と産地がポイントです。
   セグロベニモンツノカメムシ(ダケカンバ) 北海道
   ヒメセグロベニモンツノカメムシ(ダケカンバ) 本州
   フトセグロベニモンツノカメムシ(ドロノキ) 北海道・本州
   クロスジベニモンツノカメムシ(カツラ) 本州
   ヤナギベニモンツノカメムシ(オオバヤナギ) 北海道・本州
   





幸か不幸か、コロナ(この略は??)による外出自粛のおかげで、
普段ならカメラを向けることのない虫たちを、撮影する機会が増えました。

今回は、とっても小さな蛾の仲間なのに、撮っても(!)奇麗なのです。
その名も、多分クロコギンボシハマキモドキというハマキモドキ科の蛾です。

 ⇒どのくらい小さいのかは、この記事の「最後の写真」をご覧ください。




体のサイズがもう少し大きければ、虫好き少年(少女も!)にとって、
憧れの人気者になっているかもしれないような虫たちは少なくありません。

【何か選抜ベスト5 もう少し大きければ!】
     ↓   ↓   ↓
 http://sallygenak.livedoor.blog/archives/2019-0326

小さい虫たちを拡大して見ることで、予想以上に奇麗だったりすることは、
撮影現場では分からなかった新鮮な驚き(感動?)があります。




クロコギンボシハマキモドキの写真を、出し惜しみするわけではありませんが、
まずは前座として、サイス的には10mm前後のマキガ科の仲間3種から・・・


バラシロヒメハマキ(ハマキガ科)
SK-4436a
2020年6月4日 だんぶり池・青森

見る人によっては、(私も含めて)鳥の糞に見えるかもしれません。
でも、拡大してよく見ると、予想外に奇麗な模様なのです。







多分フタスジヒメハマキ(ハマキガ科)
SK-4352a
2020年6月4日 芝谷地湿原・秋田

うす紫色の墨絵の世界のような模様の小さな蛾です。
多分、もう少し大きければ、人気者になっているかもしれません。






オオギンスジハマキ(ハマキガ科)
SK-4538a
2020年6月9日 座頭石・青森

こちらは、ガラリと変わって、赤い羽根に銀色の2本のスジが入った、
葉っぱの上でもよく目立つ小さな蛾です。






・・・というわけで、
前座の3種の蛾は、小さいと言っても10mm前後は十分ありました。
しかし、私の予想の斜め上を行くような、もっともっと小さい奇麗な蛾に、
出会うことができたのです。




とりあえず、下の写真をご覧ください。


多分クロコギンボシハマキモドキ(ハマキモドキ科)
SK-4449a
2020年6月4日 だんぶり池・青森

最初に見つけたときには、小さなゴミが風に舞っているような雰囲気で、
葉っぱの上を小刻みに動き回っていました。

動きが速いし、小さすぎるので、普通のカメラでは、これが限界です。
残念ながら、写真同定はできませんでした。

 ⇒ネット情報では、アトギンボシハマキモドキ、コアトギンボシハマキモドキ、
  ニセアトギンボシハマキモドキ、イワテアトギンボシハマキモドキなどの種が、
  紹介されていますが、個体変異などの情報もなく最終判断はできません。








多分クロコギンボシハマキモドキ(ハマキモドキ科)
SK-4453a
2020年6月4日 だんぶり池・青森

濃い紫色の翅に、うす青い小さな点が散りばめられています。
この雰囲気はあまり他の虫たちにはないものだと思います。

 ⇒それにして、小さすぎます。







実際の大きさのイメージは、下の写真をご覧ください。


多分
クロコギンボシハマキモドキ(ハマキモドキ科)

SK-4450aa
2020年6月4日 だんぶり池・青森

おそらく、5mm前後しかなかったと思います。

これまでは、小さいことで有名なハマキガの仲間が10mm前後なので、
さすが「ちょっとだけ不思議な昆虫の世界」には、上には上が・・・
いや下には下が、さりげなく存在するんですね。





ヤミイロカニグモという分かりやすい名前のクモがいます。

つまり、黒っぽい色のカニのような角ばった腹部のクモなのですが、
実はこの闇色(ヤミイロ)がちょっとだけややこしいのです。

ヤミイロカニグモの特徴として、ネット(Wikipedia)の記載をまとめると、
以下のようになります。

  ① 体全体は黄褐色から暗褐色をしている。
  ② 背甲は両側に沿って暗色の斑紋がある。
  ③ 腹部は後方が幅広く台形に近い形となる。
  ④ 背面には白い横筋模様がある。
  ⑤ 背甲や歩脚に多数の棘がある。
  ⑥ 雄は雌より華奢で、体色が色濃い。

  ただし、これらの外見的な特徴は、
  この属の多くの種に共通して見られるものであり、
  それによる同定はほぼ出来ない。
 
  ・・・はっきりと(開き直って?)書かれています。


一体どうやって、写真同定すれば良いのでしょうか??

ちなみに、ネットのクモ図鑑には、ヤミイロカニグモの写真が、
数枚掲載されていますが、そのどれを比較しても同種とは思えません。



この件に関しましては、後日改めて記事にしたいと思っています。

  







・・・というわけで、
写真タイトルには「多分」と付けて、あまり見かけない獲物を紹介します。


多分ヤミイロカニグモ捕食中(カニグモ科)
SK-4475a
2020年6月5日 座頭石・青森

アブやサシガメの仲間が、甲虫類を捕獲しているのをたまに見ますが、
クモの仲間に関しては、滅多に見ることはありません。

 ⇒おそらく甲虫類は、防御物質を持っていることが多く、
  捕食者がさりげなく敬遠するのかもしれません。


肝心のカニグモの種類についてですが、上記①~⑥の特徴から、
ヤミイロカニグモである可能性がかなり高いと思われます。

ただし、種の識別がほぼできないという注釈があるので、
ここでは多分ヤミイロカニグモの雌としておきます。






多分ヤミイロカニグモ捕食中(カニグモ科)
SK-4477a
2020年6月5日 座頭石・青森

獲物の方は、これも多分甲虫類としか言えません。

頭部が写っていないので、カメムシ類の可能性も捨てきれません。
 
 ⇒逆に言うと、捕獲した瞬間は頭部から攻撃する! 
  






さらに珍しい獲物???


多分ヤミイロカニグモ捕食中(カニグモ科)
SK-4495a
2020年6月5日 座頭石・青森

最初は、ヨモギの葉っぱの先端で、獲物を待ち受けるヤミイロカニグモを、
うまく撮ったつもりだったのですが・・・

 ⇒しかし、よく見ると頭の先に何かが見えます。






多分ヤミイロカニグモ捕食中(カニグモ科)
SK-4496a
2020年6月5日 座頭石・青森

どうやら、種名不明のアリを捕獲しているようです。

クモがアリを捕獲してい場面を見たのは、実はこれが最初でした。
アリグモを含めたハエトリグモ類は、アリを捕獲することはありません。

 ⇒私は、何度となくアリグモやハエトリグモの仲間が、
  近づいてくるアリを避ける(逃げる?)のを見ています。


やはり、あまりサイズが違わないアリを獲物とするのは、
かなり危険が伴うのを知っているのかもしれません。
  
それでも、この組み合わせは、サイズが違いすぎます。
むしろ、こんな小さな獲物を捕獲する理由が分かりません。

 ⇒アリの持つ蟻酸が、程よいスパイスかツマミになっているのでしょうか?






スペースが余っていますので、珍しい食事風景の写真3枚です。


クモがクモを捕食中
SK-4255a
2020年5月23日 だんぶり池・青森

上の黒いクモの方が、下の白っぽいクモを捕獲しています。

正確な名前は分かりませんが、黒い方は脚が細く腹部が丸いので、
カバキコマチグモに似た(?)雰囲気があります。

獲物の方は、アサヒエビグモの可能性がかなり高いと思われます。







クモがクモを捕食中
SK-4521a
2020年6月6日 弘前市・青森

おそらく、マミジロハエトリ雌が、同種の雄を捕獲したようです。

確かに雌雄がともに捕食者である場合には、交尾機会も含めて、
このようなことが起こりうるのかもしれません。

 ⇒個人的には、このような光景は初見です。









最後に、私のお気に入りの既出写真です。


どっちが捕獲??
SH-5729a
2017年7月20日 白岩森林公園・青森

最初は、オニヤンマがヤブキリを捕まえたのかと思いましたが、
よく見ると、全く逆でした。

【どっちが捕獲?! オニヤンマとヤブキリ】

     ↓   ↓   ↓
 http://sallygenak.livedoor.blog/archives/2017-0801





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