青森県内の常夜灯は、10月になると集まってくる蛾の数が激減して、
その周りを活発に飛び回ることもなくなってきます。
前回に続いて、今年(2020)撮れた晩秋の蛾を紹介します。
⇒ただちょっとだけ反則なのですが、
今回の蛾は、晩秋以外にも出会うことがあります。
クロミスジシロエダシャク(シャクガ科)
2020年9月28日 矢立峠・秋田
見た目どおりの名前が付いた、黒い3本のスジがある白いエダシャクで、
秋になって常夜灯に集まる蛾が少なくなった頃に、よく見かけるようになります。
幼虫は、エゴノキ科のエゴノキやハクウンボクの葉を食べます。
ハガタアオヨトウ(ヤガ科)
2020年9月29日 城ヶ倉・青森
前翅の緑色の斑紋が目立つ蛾で、春にも見られ(年2化)るようです。
コケの生えたような樹皮にいると、典型的な保護色と言うことになります。
幼虫は、タデ科のオオイタドリなどの葉を食べます。
キマダラオオナミシャク(シャクガ科)
2020年10月6日 矢立峠・秋田
明るい黄褐色の前翅前縁の先端にある黄色い大きな模様が印象的です。
真夏にも見られますが、やはり晩秋の他種が少なくなったころに、
ヤママユ以外の大きなナミシャクは目立ちます。
幼虫の餌植物は、マタタビ科のサルナシなどが知られています。
マエキトビエダシャク(シャクガ科)
2020年10月6日 矢立峠・秋田
年2~3化なので、1年中見られますが、秋遅くまで見かけます。
似た種にオオマエキトビエダシャクがいますが、暖地性なので、
青森県には分布していないようです。
幼虫は、モチノキ(モチノキ科)などの葉っぱを食べます。
シロオビノメイガ(ツトガ科)
2020年10月6日 矢立峠・秋田
濃褐色に白い帯の入った翅が印象的な普通種で、昼間から活発に活動します。
初夏のころから常夜灯でも見られますが、秋になると目立ちます。
幼虫の餌植物として、アカザ科のアカザやホウレンソウなどが知られています。
マエアカスカシノメイガ(ツトガ科)
2020年10月6日 志賀坊森林公園・青森
半透明の白い翅を持ち、前翅の前縁には赤褐色の筋がアクセントです。
早春から晩秋まで、全国各地の平地・山地に普通に見られます。
⇒ 常夜灯の下の植え込みで、早朝に見つけました。
⇒ 常夜灯の下の植え込みで、早朝に見つけました。
幼虫の餌植物は、がネズミモチやキンモクセイなどで、庭木の害虫とされます。
オオネグロウスベニナミシャク(シャクガ科)
2020年10月7日 城ヶ倉・青森
比較的大型のナミシャクで、前翅には褐色~暗褐色の複雑な模様があります。
平地から高山地まで広く分布する日本固有種とされています。
⇒似た蛾にネグロウスベニナミシャクがいますので、
同定するには翅裏の写真(右上)が必須ですが、
たまたま同一個体が移動しました。
幼虫の餌植物は、ヤナギ科のキツネヤナギ、ブナ科のコナラなどです。
キトガリキリガ(ヤガ科)
2020年10月7日 城ヶ倉・青森
枯れ葉のような色彩と模様の本種は、あまり見かけることはありません。
この時期の城ヶ倉は、夜間の外気温が10℃以下になりますので、
常夜灯の周りを飛び回る蛾は、めっきり少なくなります。
⇒本種は、秋にしか見られないのかもしれません。
幼虫の餌植物として、バラ科のナシなどが知られています。
以上、(北国の!)晩秋に(も!)見られる蛾でした。