いつものカメラ片手の散歩コースには、クズとヨモギとススキの大群落が目立つのですが、
ところどころで、有毒植物のガガイモ(キョウチクトウ科)も頑張っています【注】。
⇒植物体を傷つけたときに出る白い汁(乳液)には、
有毒のアルカロイドなどを含みます。
そんなガガイモから有毒成分を吸汁し、捕食者から身を守る警戒色のカメムシがいます。
とりあえず、こんな雰囲気で見つかりました。
ジュウジナガカメムシ(ナガカメムシ科)
2020年9月30日 弘前市・青森
一目で見渡せるようなガガイモの葉っぱの上に、たまにヨモギの葉っぱにも、
よく目立つジュウジナガカメムシの成虫と幼虫が、あちこちにいました。
⇒中には、数匹の小さな集団も見つかりますが、
ときどき数10匹の大集団になることがあります。
【恐るべき幼虫集団 ジュウジナガカメムシ】
↓ ↓ ↓
ジュウジナガカメムシ(ナガカメムシ科)
2012年8月22日 十石峠・長野
本種は、イケマやガガイモなどの有毒植物に集団を形成することが知られていますので、
今回見かけたバラバラの個体や小集団は、何らかの原因で一度大きな集団が分散して、
再編成の途中なのかもしれません。
ジュウジナガカメムシ(ナガカメムシ科)
2020年9月30日 弘前市・青森
近くで見ると、鮮やかな朱色と黒色の典型的な警戒色のカメムシです。
ヒメジュウジナガカメムシに似ていますが、本種は前胸部背面の黒紋がより長く、
翅の黒い紋の形状もことなるので、識別可能です。
ジュウジナガカメムシ(ナガカメムシ科)
2020年9月30日 弘前市・青森
今回見かけた最大の集団は、わずか7匹(成虫2匹と終齢幼虫5匹)でした。
警戒色を持った草地にいるカメムシ類の集団は、
警報フェロモンに敏感に反応し、すぐにバラバラになるか、
一斉に地面に落下することが多いようです。
⇒警報フェロモンと警戒色の最強の組み合わせで、
集団で、効率よく(?)外敵からの防御を行っているのです。
集団の再編成の様子を確認するため、2日後にもう一度行ってみました。
ジュウジナガカメムシ(ナガカメムシ科)
2020年10月2日 弘前市・青森
確かに、2日前には見られなかった集団(中央部に11匹、左下に12匹)を、
確認できましたので、上記の予想は正しかったと思われます。
前々日に起こった何らかの原因とは、私と同じような虫マニアが、
警報フェロモンを放出させて、集団をバラバラにした可能性もありますが、
本来の現象である外敵に襲われた時の反応だったのだと思います。
ジュウジナガカメムシ(ナガカメムシ科)
2020年10月2日 弘前市・青森
集団の再編成の場合には、集合フェロモンの働きによります。
⇒ですから、本来の餌植物であるガガイモではなく、
近くの植物に形成される可能性もあるのかもしれません。
そして、翌週には・・・
ジュウジナガカメムシ(ナガカメムシ科)
2020年10月9日 弘前市・青森
何と、ジュウジナガカメムシが30匹程度の集団を形成していたガガイモの葉っぱが、
8年前に十石峠(長野県)で見たイケマと同じように、黄色に変色していました。
⇒やっぱり、生物は大集団になると、砂漠のバッタのように、
物凄い力を発揮するのですね・・・ちょっと例示のスケールが違う!
【注】現在は、DNA解析により、植物の「科の分類」の変遷期・過渡期とされています。
おそらく数年前から、従来のガガイモ科をキョウチクトウ科に含めることが、
多くなったことように思います。
また、日本国内で普通に見られるイケマとガガイモの違いは微妙ですが、
葉っぱの形状や葉脈の色、果実の表面などで識別できそうです。
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