【1262】
タイトルの「ミラクル擬態」とは、このブログ内だけで通用する
『そこまで似せなくても、捕食者は騙されてくれるよ!!』
と言うような「やりすぎ感のある擬態」を指します。
以前このブログで、その完成度に大きな差があるアリに擬態する虫たちの種類を、
これまで撮ることが出来た写真をまとめて紹介したことがあります。
また、多くの虫たちが、「何故アリに擬態しているのか?」についても、
これまでに提出された(昔からの)の4つの説が検討され、現在では、
ベイツ型擬態である可能性が最も高いことが分かっています。
【アリ擬態(新)】
↓ ↓
とりあえず、下の写真をご覧ください。
どちらがアリで、どちらがクモなのか、お分かりでしょうか?
アリグモとハエトリグモ
左: アリグモ (ハエトリグモ科) 七ツ洞公園・茨城(20210526)
右: クロヤマアリ(アリ科) 白岩森林公園・青森(20210602)
左側のアリグモは、見つけた瞬間はアリに見えますが、
慣れてくると、動き方で「アリではないらしい」ことが分かります。
⇒逆に言うと、「慣れるまでは、誰が見てもアリ」に見えるのです。
もう少し詳細に、モデル(アリ)と擬態者(クモ)を確認してみます。
最初は、モデルとなった本物の(!)アリです。
クロヤマアリ(アリ科)
2020年9月20日 弘前市・青森
日本中どこでも見ることが出来る、クロアリの代表的な種です。
腹と胸の間が大きくくびれて、その間に小さな突起があります。
⇒腹部のイメージは、クモとアリでほぼ同じだと思います。
クロオオアリ(アリ科)
2021年5月20日 東海村・茨城
こちらは、郊外や林道などでも見かけるやや大きめのアリで、
クロヤマアリと同様に、アリグモと一緒に見かけることがあります。
クロヤマアリと同様に、アリグモと一緒に見かけることがあります。
普通に考えれば、アリの仲間が何らかの理由で、捕食者に食べられないならば、
類縁関係のない虫たちが、アリの姿かたちに似せることは有り得ることです。
⇒この「ベイツ型擬態」説が正しいことを確かめるには、
少なくとも1種以上の学習できる捕食者が、
「アリを食べない」という観察結果があれば良いことになります。
以下、擬態者のクモです。
アリグモ (ハエトリグモ科)
2021年7月26日 七ツ洞公園・茨城
発見時は、こんなイメージでどう見てもアリにしか見えません。
アリとクモは、全く別の系統(綱: 界・門・綱・目・科・属・種)で、、
それぞれ、昆虫綱とクモ綱に所属します。
⇒およそ5億年前に分岐したとされる昆虫とクモですが、
その共通祖先から種分化して、再び同じような見た目になる、
という不思議な現象なのです。
アリグモ (ハエトリグモ科)
2021年7月26日 七ツ洞公園・茨城
このアングルでも、まさに全くアリですが、間違いなくクモなのです。
⇒前脚は、触角のような動きをします。
脚と同じような雰囲気の触角なので、脚が8本あるように見えます。
⇒実は、アリグモの前脚は歩行に使用することは多分なく、
まるで触角のように動かすことが観察されています。
アリグモ (ハエトリグモ科)
2021年7月26日 七ツ洞公園・茨城
このようなイメージで、アリを俯瞰的に見ることができる学習可能な捕食者は、
おそらく野鳥類がメインだと思いますが、実際にアリを捕食するのでしょうか?
⇒多くのアリ類は、体内に蟻酸を持っているので、
野鳥類が食べない可能性も十分ありうることです。
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