ちょっとだけ不思議な昆虫の世界(3)

今回で2度目の引っ越しです。 さりげなく(Sally Genak)虫たちの不思議な世界を紹介しています。

カテゴリ: 昆虫の種類

【1566】
林道を歩いていると、葉っぱを食べているケムシにかなりの頻度で出会います。
私は毛虫(!)と聞くと、真っ先に頭に浮かぶのがヒトリガの老熟幼虫です。


今回は、親も子も、ちょっとだけ不思議なヒトリガの写真です。



とりあえず、典型的なケムシの雰囲気が漂う幼虫から・・・

ヒトリガ幼虫(ヒトリガ科)
SH-0345a
2014年7月7日 中山峠・北海道

ヒトリガの幼虫は、地上を積極的に移動することが知られていますが、
このような赤と黒のツートンカラーの毛束は、車の運転席からも目立ちます。

 ⇒私だけかもしれませんが、実際に見かけることが多いのは、
    こんな感じで地面を歩いているヒトリガの幼虫です。




ヒトリガ幼虫(ヒトリガ科)
SP-4199a
2023年6月4日 道の駅喜多の郷・福島

道路上では、まるでハリモグラやヤマアラシのような小型の哺乳類にも見えます。
かなり怖そうな雰囲気ですが、本種はイラガやチャドクガのように毒針毛はなく、
軽く触っても全く問題ありません。

 



ヒトリガ幼虫(ヒトリガ科)
SP-1453a
2022年6月1日 西蔵王・山形

ネット情報では、ヒトリガ幼虫は広食性で、幅広い植物種の葉を食べますが、
一部の食草に含まれるアルカロイドを、体内に蓄積することができるようで、
野鳥類などの捕食者は、よく目立つこのケムシを避けることが知られています。






ヒトリガ幼虫(ヒトリガ科)
SK-7368a
2021年5月21日 ひたちなか市・茨城

カメラを構えてそっと近づくと、急に頭部を持ち上げて、そのまま静止しました。
大型のイモムシ類で見られる行動で、捕食者を躊躇させる効果があるようです。





成虫もかなり不思議な雰囲気の蛾です。

ヒトリガ(ヒトリガ科)
SK-1476a
2018年9月3日 白岩森林公園・青森

蛾になっても幼虫時代の不味成分を保持し、警戒色っぽい雰囲気の色彩で、
背中の前方には、如何にも恐ろしげな赤い縁取りの毛が生えています。





通常の静止状態でも、十分目立つのですが・・・

ヒトリガ(ヒトリガ科)
SG-7907a
2013年9月9日 矢立峠・秋田

この蛾は危険を感じたときに、後翅の鮮やかな赤色と対になっている黒丸を、
突然(しかも必然的に!)見せつけるのです【注】

 ⇒飛び立つ直前に見える赤色と目玉模様は、
  捕食者を一瞬だけ、躊躇させることができるのです。
  

【注】
私は、夜明けの常夜灯周辺で、そんな場面に出会ったことがあります。
   ハクセキレイが、返りそびれたアサマキシタバを捕獲しようとした瞬間、
   驚いたような仕草で攻撃を中止するのを目撃しました。
   おそらく普段は隠されている後翅の模様が突然見えたのかも・・・





ヒトリガ成虫(ヒトリガ科)
SK-4866a
2020年9月17日 志賀坊森林公園・青森

この写真も、展望台の常夜灯の周辺に朝方まで残っている虫たちを撮ったもので、
私が近づいたときに、前翅を広げて後翅表面の赤い部分を見せつけた瞬間です。

 ⇒個人的には(早起きすれば!)夜明け直後の常夜灯の周辺は、
  簡単に普段見られない虫たちに出会えるお気に入り(?)の場所です。

 
 

【1563】
このブログに掲載している写真は、私自身が見つけて撮った虫たちです。

 ⇒ただ、ごく一部に、娘が撮った写真を使用しています。
  その場合は、写真の隅にカメムシマークではなく、
  サングラスの女性の写真を入れています【注】

今回のセスジスズメの幼虫には、私は出会ったことがありません。



・・・という訳で、以下3枚の幼虫の写真は例外です。

セスジスズメ幼虫(スズメガ科)
SH-2664a
2015年9月16日 ひたちなか市・茨城

典型的なスズメガの仲間の幼虫の姿かたちで、雌らしい黒っぽい体表には、
人工的な雰囲気の目玉模様が並んでいます。

 ⇒写真は、この模様から4齢幼虫だと思います。




セスジスズメ幼虫(スズメガ科)
SH-2665a
2015年9月16日 ひたちなか市・茨城

本種の幼虫は、ホウセンカやサツマイモなどの葉を食べるのですが、
舗装道路を歩いているのを、娘が葉っぱに止まらせて撮影したとのことです。

 ⇒かなりわざとらしい食草と背景が不自然です。




セスジスズメ幼虫(スズメガ科)
SH-2659a
2015年9月16日 ひたちなか市・茨城

白色の横縞模様があるので、おそらく終齢幼虫だと思います。

 ⇒いずれにしても、多くのチョウや蛾の幼虫が、
  齢期(サイズ)によって、雰囲気が劇的に変化するは、
  おそらく天敵に対する防御手段のひとつだと思いますが、
  ちょっとだけ不思議な現象です。





・・・そして、成虫は?

セスジスズメ(スズメガ科)
SK-1058a
2018年8月1日 道の駅みわ・茨城

成虫は名前のとおり、前翅の暗褐色と薄黄色の帯があって、
背中にも、微妙な2本の縦筋が入るスマートな蛾です。

 ⇒この直線的な模様が、戦闘機かハンググライダーのようです。





セスジスズメ(スズメガ科)
SK-1250a
2018年8月13日 道の駅みわ・茨城

このイメージなのに、常夜灯で見かけるときは、やはりスズメガ仲間です。

 ⇒スマートではなく、バタバタと飛びまわっています。





【注】今回は、虫達の親子シリーズなので、ついでに人間の親子も・・・

   実は、私の3人の子供の中で、次女だけが「虫好き」です。
   ずいぶん前のことですが、石垣・西表方面への3泊4日のツアーに、
   19歳の次女と二人で、さりげなく参加したことがあります。
   比較的年齢層の高い一般客に混じって、若い女性は娘だけで、
   しかも、薄汚いオッサンと二人連れ!!!
   観光コースに興味を示さず、あまり人の行かない場所に行き、
   いつもバスの集合時間ギリギリに到着していました。
   夜の自由時間は、ウロウロと常夜灯を探して外に出かけて、
   ツアー最後の午後の自由時間は、レンタカーで山に向かいました。
   そんな怪しげな男女は、他のツアー客の注目を浴びていたはずです。
   添乗員の女性しか知らない我々二人の関係については、
   おそらく、他のツアー客は興味津々だったのでしょう。
   最後の石垣空港で、ふたりの関係を聞いてきた老婦人がいました。
   娘が「お父さんですよ!」と、普通に答えたときに、
   皆が「それだけは、ありえない!!」という感じの、
   驚いた顔になっていたのを、懐かしくい出します(?)。

   SH-2716x
   2001年3月20日 石垣島・沖縄

   



【1537】
普通にミミズクという名前を聞くと、ほとんどの人が夜行性の鳥類を、
思い浮かべるはずですが、ごく少数「カメムシ目の昆虫!」という人も、
いると思います・・・(真っ先に思い浮かべる知人も数人います?)。

今回はそんな昆虫のミミズクの親子です【注】




まずは不思議な見た目の幼虫から・・・

ミミズク幼虫(ミミズク科)
SG-2653a
2013年6月5日 ひたちなか市・茨城

平べったい体を、ぴったりと葉っぱにくっつけています。
個人的な感想として(?)、ヒメツノカメ類のような見た目です。
 ⇒しかし、実は写真の「下側が頭部」なのです。






しかも、この子は、さりげなく「ぴょん!!」と、飛び跳ねたのです。

ミミズク幼虫(ミミズク科)
SG-2654a
2013年6月5日 ひたちなか市・茨城

葉っぱの上で、飛び跳ねたのでは、着地が上手くできるはずがなく。
近くの地面を探すと、こんな格好で見つかりました。
 ⇒この写真を良く見ると、前後関係(右側が頭部!)がはっきり分かるし、
  6本の脚の状態も、十分確認できます。






こんな「やりすぎ幼虫」の親は、どんな姿をしてるのでしょうか?

ミミズク(ミミズク科)
SG-4025a
2011年6月26日 白岩森林公園・青森

やっぱり、成虫もかなり奇妙な格好をしています。
ネット情報では、フクロウのような姿をしてるので、
(何故かフクロウではなく?)ミミズクと名前を付けたようです。
 ⇒これ、本当なのでしょうか?





ミミズク(ミミズク科)
SG-3684a
2011年7月24日 だんぶり池・青森

この格好で葉っぱに静止していれば、獲物を探す野鳥類も4食べ物とは思わないかも・・・
 ⇒しかし、緑の葉っぱの上では目立ちすぎます。

以前、ODDITYとして紹介したような効果もあるのかもしれませwん。

 【ODDITY???】
   ↓   ↓   ↓ 



【注】本種は、虫たちの親子シリーズの(10)として、
   次回予定のベッコウハゴロモと同時掲載しましたが、
   一部間違いがありましたので、当該記事を削除して、
   今回新しく2種に分割して記事にしました。

【1534】
多くのハムシの仲間は、幼虫時代に植物の葉っぱを食べる種類がいるので、
林道を歩いていても、比較的目につきやすいような気がします。

ヤナギハムシは、その名のとおりヤナギの葉っぱで見かけることが多く、
幼虫の同定に関しては躊躇なく(?)できそうです。





今回は例外的に、成虫から・・・

ヤナギハムシ(ハムシ科) 
SK-0607a
2018年6月26日 酸ヶ湯温泉・青森

上翅は黄褐色~オレンジ色で、左右に様々な形状の黒い斑紋があります。
 ⇒ただ、変異が大きく、紋がない個体もいるようです。




ヤナギハムシ(ハムシ科) 
SH-7061a
2017年6月18日 酸ヶ湯温泉・青森

本種は成虫越冬で、ヤナギの新葉が目立つころ交尾・産卵を開始します。
 ⇒写真は黄褐色タイプですが、雌雄の違いではなさそうです。





幼虫は真っ黒ですが・・・

ヤナギハムシ幼虫(ハムシ科) 
SG-7027a
2013年7月20日 弘前市・青森

北国では初夏になると、ようやくヤナギの木が薄緑色の葉っぱで覆われて、
真っ黒な幼虫が、集団で葉肉を網目状に食べているのが見られます。
 




ヤナギハムシ幼虫(ハムシ科) 
SG-7033a
2013年7月20日 弘前市・青森

近くで見つけた集団は、何らかの理由で発育ステージがバラついています。
 ⇒写真の赤色の丸い粒は卵ではなく、虫えい(ゴール)です。










【1533】
ドクガ科の仲間は名前の印象から、全ての種類が触ると危険だと錯覚しますが、
実は毒針毛を持つ種はそんなに多くないようです。
 ⇒ただ今回のモンシロドクガは、例外的に(?)触ると危険です。



まずは、かなり派手な幼虫から・・・

モンシロドクガ幼虫(ドクガ科)
SP-4832a
2023年9月7日 編笠林道・青森

黒色の体に、黄色~オレンジ色の帯とその周りに白色の紋が並んでいます。
本種の2齢以降の幼虫は、胴体の背面および側面に毒針毛を持っているので、
触ると皮膚炎を起こします。
 ⇒ネット情報では、繭・成虫・卵・1齡幼虫ともに、
  終齢幼虫期限の毒針毛を継承するので、
  すべてのステージで触ると皮膚炎を起こすとされています。





モンシロドクガ幼虫(ドクガ科)
SP-4831a
2023年9月7日 編笠林道・青森

よく似た種(幼虫)に、ゴマフリドクガ、キドクガやリンゴケンモンがいますが、
以下のように比較的簡単に写真同定ができます。
 ⇒ゴマフリドクガの幼虫は、黄色の帯がより広く朱色部分の形状が異なる。
 ⇒キドクガの幼虫は頭の両側に黒く長い毛束がある.
 ⇒リンゴケンモンの幼虫は、長い毛の先が白くウエーブがかかる





成虫は、意外とやさしい雰囲気・・・?

モンシロドクガ(ドクガ科)
SK-8815a
2021年8月25日  志賀坊森林公園・青森

前翅は真っ白で、後縁部に薄い茶色の紋があるが、まれに無紋の個体もいます。
北海道では年1化ですが、西日本では2~3回発生するとされています。
 ⇒ヒトリガの仲間にも雰囲気が似ていますが、
  全身に生える毛があるので、識別可能です。




モンシロドクガ(ドクガ科)
SK-5605a
2020年8月11日  城ヶ倉・青森

当然ですが、同じチョウ目のドクチョウ類と違って、ドクガ類の体内には、
有毒成分(不味成分)は含まれていません。
 ⇒前述のとおり、幼虫時代に持っている毒針毛に由来する和名ですが、
  その毒針毛があるのは、わずか数種類だけなのです。

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