ちょっとだけ不思議な昆虫の世界(3)

今回で2度目の引っ越しです。 さりげなく(Sally Genak)虫たちの不思議な世界を紹介しています。

カテゴリ: 目玉模様

【1550】
クスサンは9月中旬になると常夜灯の周りを飛ぶ姿が見られるようになり、
おそらく、身近に生息する最も有名な大型の蛾の仲間だと思います。




まずは、幼虫から・・・・・

クスサン幼虫(ヤママユガ科)
SH-0203a
2014年7月2日 北小金・北海道

体が柔らかそうな長い毛に覆われており、白髪のような見た目なので、
地域によっては、そのまま「シラガタロウ」と呼ばれているようです。

 ⇒また、毛がまばら(多分?)になっている体の側面には、
  体を横切る黄色の直線と、特徴的な青色の紋が確認できます。





クスサン幼虫(ヤママユガ科)
SH-7349a
2017年7月9日 白岩森林公園・青森

無毒であることを図鑑で確認して、一見柔らかそうな長毛を触ってみると、
実は、予想以上に硬く、全くフワフワ感はありません。

 ⇒おそらく、この長い毛は、寄生蜂などに対して、
  物理的な防御手段になっているのかもしれません。





そして、成虫(蛾)も興味深い性質があります・・・

クスサン(ヤママユガ科)
SK-6129a
2020年9月5日 志賀坊森林公園・青森

クスサンは卵で越冬して年1化なので、成虫は秋にしか出現しませんが、
たまに常夜灯のまわりを集団で飛んでいるのが見られます。

 ⇒成虫の色彩には多少の変異があり、赤っぽい個体から、
  灰黄色のものまで同時に見ることができます。





クスサン(ヤママユガ科)
SP-3129a
2022年10月1日 城ヶ倉・青森

常夜灯に来ていた個体は、近づくと翅を少し開いて目玉模様を見せました。

 ⇒当然、この後翅の目玉模様は、通常は前翅の覆われて見えません。
  外敵に襲われそうになると、前翅をずらせて突然見せつけるのです。

  以下の過去記事も、ご覧ください。

  【目玉模様の秘密】
      ↓  ↓  ↓


  




クスサン(ヤママユガ科)
SG-0256a
2008年9月22日 碇ヶ関・青森

このように目玉模様が見える状態になると、フクロウのように見えます。

 ⇒この目玉模様は、外敵に襲われそうになったときにだけ見えるのです。
  以下の過去記事に詳細がありますので、一度ご覧ください。

  【虫たちの生き残り戦略⑳ サティロス型擬態(騙す・脅す)】
        ↓   ↓   ↓



本格的な秋(?)が北国にもやって来て、常夜灯のクスサンの大乱舞が終わると、
晩秋の蛾の代表ヒメヤママユの姿がチラホラと見られるようになります。


ヒメヤママユは、活動時期に気温が低いこともあるのでしょうが、
個人的には、ひっそりと飛ぶイメージしかありません。

 ⇒ネット情報では、卵越冬、4月下旬に孵化、6月に蛹化して、
  10月に羽化するという結構珍しい生活史のようです。








とりあえず、こんなメージで見つかりました。


ヒメヤママユ(ヤママユガ科)
SK-4954a
2020年10月6日 矢立峠・秋田

駐車場の常夜灯の下の雑草に、うまく飛び立つことが出来ないように、
翅をバタバタさせる大型の蛾がいました。

翅の裏側を見て、すぐにヒメヤママユであることがわかりましたが、
気温が低いためか、動きがちょっとだけ不自然(?)でした。

 ⇒駐車場にある車の外気温表示を確認すると、何と8℃で、
  後日、この秋一番の冷え込みだったと知りました。









ヒメヤママユ(ヤママユガ科)
SK-6651a
2020年10月6日 矢立峠・秋田

ヨモギの葉っぱが揺れるので、安定した箇所がなく静止することもできないのか、
翅を弱々しく開閉させるだけで、飛び立てないようでした。









ヒメヤママユ(ヤママユガ科)
SK-4957a
2020年10月6日 矢立峠・秋田

そんな状態なので、裏側に回り込むと、ようやく翅の表面を撮ることが出来ました。

 ⇒ストロボを光らせながら、近くでウロウロする私に、
  もしかしたら気付いたかも知れません。








そして、まさかというようなことが起こりました。







ヒメヤママユ(ヤママユガ科)
SK-6662a
2020年10月6日 矢立峠・秋田

故意か! 偶然か!! おそらく後者だと思いますが、
なんと、頭を下に向けて翅を開いたのです。

 ⇒私も、ちょっとだけ「ドキッ!」としました。
  これが、前者(故意!)であったならば・・・









すぐに、カメラを垂直になるように構えて・・・


ヒメヤママユ(ヤママユガ科)
SK-6664aa
2020年10月6日 矢立峠・秋田

突然のシャッターチャンスを、さりげなくゲットしました。

 ⇒野鳥類が見たら、かなりビビったかもしれません。



時計を見ると、時刻は真夜中の23時37分でした。
もちろん、この時間は、虫を食べる野鳥類は活動していません。

長い間、蛾の写真を撮っていると、こんな経験をすることが何度かありました。

 ⇒でも、今回が一番の衝撃でした。



以下の過去記事もご覧ください。

【虫たちの生き残り戦略⑯ 捕食者を欺く(2) 大きな目玉模様】
    ↓   ↓   ↓


【ヒマなときこそ擬態の話《7》 サティロス型擬態の信じられない話】
    ↓   ↓   ↓









オオトリノフンダマシというクモの仲間がいる。
名前だけを聞くと、鳥の糞に擬態している・・・
・・・かのような印象を与える。

 ⇒もちろん有名な、ただのトリノフンダマシは、
  誰が見ても「できれば、もう見たくない!?」と言うほど、
  鳥の糞にそっくりである。




・・・しかし!!


日本には、4種のトリノフンダマシの仲間が知られているが、
全ての種が鳥の糞に擬態しているとは言えないのだ。

それぞれの種の特徴をまとめると、以下のようになると思う【注】

 ⇒鳥の糞に擬態: トリノフンダマシ、シロオビトリノフンダマシ
 ⇒目玉模様強調: オオトリノフンダマシ
 ⇒ベイツ型擬態: アカイロトリノフンダマシ


一体何故、ほぼ同じような姿かたちの近縁種が、
正反対の機能を持つように進化したのだろうか??








まずは、今年のオオトリノフンダマシの写真から・・・


オオトリノフンダマシ(コガネグモ科)
イメージ 2
2017年9月2日 だんぶり池・青森

この子は、多分お食事中なのだが、目玉模様が強調されて、
なかなか鳥の糞には見えない。

 ⇒目玉模様の周りに暗褐色の輪があるだけで、
  模様が強調されて、鳥の糞に見えにくくなってしまうのだ。


ちなみに、右側にぼんやり見えているのは卵のうで、
ほぼ間違いなく、この子が産んだものだろう。







一方、下の写真がただのトリノフンダマシ。


トリノフンダマシ(コガネグモ科)
イメージ 3
2012年8月6日 金山町・秋田

トリノフンダマシは、その名前のとおり、
見た瞬間に「鳥の糞」を連想する。

 ⇒野鳥類にとって、自分たちの糞は、
  まあ、身近なものなのかもしれないが、
  少なくとも食べ物ではない。

おそらく見つけても、近づくことはないだろう。

【虫たちの生き残り戦略⑩ 非食物擬態(2) 鳥の糞擬態】
  ↓   ↓   ↓
 http://sallygenak.livedoor.blog/archives/2017-0322







もう一度オオトリノフンダマシをよく見てみる・・・


オオトリノフンダマシ(コガネグモ科)
イメージ 4
2017年9月2日 だんぶり池・青森

ただのトリノフンダマシとの大きな違いは、
やっぱり、模様の周りにある暗褐色の輪だ。

それだけで、鳥の糞に見えなくなって、
しかも、目玉が飛び出して見える。

 ⇒まるで目玉のオバケだ!!!








オオトリノフンダマシ(コガネグモ科)
イメージ 1
2017年9月2日 だんぶり池・青森

少しアングルを変えると、顔だけのカマキリにも見える大きな目玉だ!?
 
だから、オオトリノフンダマシは、名前とは裏腹に、
協調された目玉模様によって、外敵の攻撃を躊躇させる効果も、
十分考えられるような気がする。

【虫たちの生き残り戦略⑯ 捕食者を欺く(2) 大きな目玉模様】
  ↓   ↓   ↓
 http://sallygenak.livedoor.blog/archives/2017-0507

【虫たちの生き残り戦略⑳ サティロス型擬態(騙す・脅す)】
  ↓   ↓   ↓
 http://sallygenak.livedoor.blog/archives/2017-0519







このように、近縁種がほぼ同じ姿かたちなのに、
見た目のイメージが全く変わっているという現象は、
非常に興味深い例だと言える。


以前のブログ記事(2014)でも、オオトリノフンダマシを紹介したが、
この中で、次のような仮説(妄想?)を立てた・・・?

【オオトリノフンダマシ 君は糞に擬態してるの?】
    ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140909/1/


以下、そのまま引用する!!

・・・仮説(妄想?)・・・

目玉模様が強調されたのオオトリノフンダマシの写真は、
水辺にあるススキなどのイネ科植物の葉っぱで撮った。

一方の、鳥の糞に擬態したトリノフンダマシの写真は、
林縁部の広葉の葉っぱで撮ったものである。

当然、肉食性の彼らが、植物の種類に大きく依存することはないが、
もし、このような傾向があるとすれば、話は簡単である。

林縁部で良く見かける、地面にほぼ平行に広がっている葉っぱには、
上から落下する鳥の糞が、かなりの頻度で付着している。

こんな場所では、鳥の糞に擬態している方が生き残る可能性が高い。

だから、トリノフンダマシのような、より精巧な糞擬態が完成していったのだろう。

一方の地面に垂直に伸びているイネ科植物の葉っぱには、
どう考えても、鳥の糞は付着しにくいのだ。

だから、せっかく鳥の糞の形状に進化したオオトリノフンダマシであるが、
静止場所がイネ科植物の葉っぱであることが多いため、
鳥の糞に見える模様があまり機能せず、むしろ、
目玉模様を強調するようになった個体(グループ?)が、
生き残る可能性が高くなったのだろう。

・・・仮説(妄想?)・・・おわり


この仮説を検証するのは、簡単だ。

実験は、しなくても大丈夫だ。

それぞれのクモたちが、実際に静止している場所(状況)を、
出来るだけ沢山、観察すれば良い。

後は、統計処理をして、有意差があるかどうかを確認すれば・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・引用ここまで




2014年以降に撮影したクモのフォルダーを探してみると、
別のオオトリノフンダマシの写真があった。


オオトリノフンダマシ(コガネグモ科)
イメージ 5
2014年10月1日 だんぶり池・青森

この子は、同じだんぶり池で3年前に撮ったものだが、
目玉模様の部分だけが強調されてはいないようだ。

だから、どちらかと言うと、鳥の糞に見えなくはない。
おそらく、この写真を撮ったときには、
鳥の糞に擬態していると思って、シャッターを押した。







・・・もう、一枚!!


オオトリノフンダマシ(コガネグモ科)
イメージ 6
2015年8月14日 鳴子温泉・宮城

この子も、オオトリノフンダマシだと思うが、
やはり雰囲気的に、鳥の糞に見える。

少なくとも、最初の写真のように、  
目玉模様が極端に協調されてはいないからだ。


 

上記の2014年と2015年のオオトリノフンダマシの写真では、
地面にほぼ水平の広葉に静止していたので、どちらかと言うと、
鳥の糞に擬態しているように見えた。

そして、今年見つけたオオトリノフンダマシは、イネ科植物ではないが、
同じような細いほぼ垂直な葉っぱで見つけたのだ。



・・・というわけで、上記の仮説は、まだ生きている・・・?





【注】トリノフンダマシの仲間は、もともと熱帯系のクモの仲間であり、
   日本では、Cyrtarachne 属が4種が生息している。

    ①トリノフンダマシ Cyrtarachne bufo
    ②オオトリノフンダマシ Cyrtarachne inaequialis
    ③シロオビトリノフンダマシ Cyrtarachne nagasakiensis
    ④アカイロトリノフンダマシ Cyrtarachne yunoharuensis

   いずれも、特異な姿かたち(基本形は同じ?)であり、
   その名が示すように、鳥の糞に擬態しているとされているが、
   どうも、そうとは言えない気がするのだ。

    ⇒少なくとも日本産4種の共通祖先で、
     いわゆるトリノフンダマシの形態が完成(?)していた。
     その後、何らかの生殖隔離が起こって、4種類に分岐したのだろうが、
     基本形態はそのままで、色彩・模様が個々の種で大きく変化したのだ。

    ②のオオトリノフンダマシは、目玉模様が強調されすぎて、
     鳥の糞には見えないし、カマキリの顔のように見える。

    ③のシロオビトリノフンダマシは、ネット写真を見る限り、
     横長の腹部の真ん中を横切るように白い帯があり、
     その前後は黒く、腹部後端近くは淡い褐色になっているので、
     鳥の糞に似ているようだ。

    ④のアカイロトリノフンダマシは、真っ赤な体に、
     黄色の水玉模様があり、鳥の糞には見えないし、
     むしろ正統派の警戒色である。

 





九州・高千穂の道路わきで、懐かしいラミーカミキリに出会った。

やはり、この子は、やや南方系の種類なのだろうか、
私の住む青森では見かけたことがない。

 ⇒でも例によって(?)、最近は関東でも、
  普通に見られるようになったらしい。





タイトルのように、別名「パンダカミキリ」として、
若い女性にも大人気のようだ・・・出所不明(怪文書?)


ラミーカミキリ(カミキリムシ科)
イメージ 2
2017年5月21日 高千穂・宮崎

このように白黒のはっきりした模様は、
緑の葉っぱの上で、遠くからでもよく目立つ。

 ⇒植物は、名前の由来となった、
  多分カラムシの仲間(ラミー)だろう。








ラミーカミキリ(カミキリムシ科)
イメージ 3
2017年5月21日 高千穂・宮崎

ちなみに「ラミーカミキリ」でネット検索すると、
沢山の正面(背中!)からの画像が沢山見られる。

そして、みんな礼服を着た「パンダ」である。

 ⇒確かに、誰でもパンダを連想する模様ではある。









ラミーカミキリ(カミキリムシ科)
イメージ 4
2017年5月21日 高千穂・宮崎

だから、このアングルの写真は、
ネット上ではなかなか見かけない・・・?

 ⇒それでも、仰向けに寝ているパンダに見える。








折角の機会なので、拡大写真!!



ラミーカミキリ(カミキリムシ科)
イメージ 5
2017年5月21日 高千穂・宮崎

よく見ると、顔(?)には細かい毛が見える。
でも、何か別の怖いものにも見えてくる。

 ⇒やっぱり、鳥を驚かす目玉模様なのか???







・・・また、擬態の話になるか?!


ラミーカミキリ(カミキリムシ科)
イメージ 1
2017年5月21日 高千穂・宮崎

少なくとも、こような白黒の色彩パターンは、
緑色の葉っぱの上では、よく目立つ警戒色なのだろう。

ただし、ラミーカミキリの場合は、
特に防御手段を持ち合わせていないはずだ。

普通に考えれば、簡単に捕食者に発見されるはずだ。

 ⇒幼虫の食草(?)は、イラクサ科のカラムシの変種なので、
  もしかしたら、微妙な有毒植物の範疇なのかもしれないが・・・【注】


そうかといって、何かに擬態しているわけでもなさそうだ。

やっぱり、目玉模様の効果なのだろうか?






【注】良く知られているように、イラクサの仲間には、
   葉っぱと茎に刺毛があり、無意識に触ってしまうと、
   鋭い痛みと痒みが残ることがある。

   バラのトゲのように、物理的な痛みだけでなく、
   イラクサには、化学物質による痛み(!)もある。

   そんなイラクサ科の植物の葉っぱを、
   さりげなく食べる虫たちが結構沢山いるのだ!!

   以下の記事をご覧ください。

   【警戒色の虫たちと有毒植物④ イラクサ科】
     ↓   ↓   ↓
    http://kamemusi.no-mania.com/Date/20160328/1/




前回の記事のところでも書いたように、
白・黒の模様の虫は少なくない。


本日のヒトリガも、表面的には、白・黒(褐色?)なのだが・・・


実は、ヒトリガについては、この「虫たちの親子シリーズ」の中で、
成虫と幼虫の面白い生態について紹介したことがある。


【虫たちの親子-25 ヒトリガ】
  ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150329/1/

幼虫は青森県内ではどこでも見つかるのだが、
普段あまり見られない成虫(蛾)の写真が、
今回なぜか沢山撮れたので、改めて紹介したい。






ヒトリガ(ヒトリガ科)
イメージ 1
2016年9月3日 志賀坊森林公園・青森

志賀坊森林公園の展望台近くの街灯は、私のお気に入りの場所だ。

その光にに集まる虫を求めて、カラスやほかの野鳥類よりもよりも先に、
現場に到着しなければならないので、いつも朝4時起きして出かける。


 ⇒ん??  今年は、やけにヒトリガの姿が目につくぞ!!








ヒトリガ(ヒトリガ科)
イメージ 2
2016年9月3日 志賀坊森林公園・青森

黒い翅に太い白線が、独特の雰囲気を持っている。

ただ、体のそこかしこ(?)に赤い部分が見え隠れするが・・・

 ⇒この雰囲気は、明らかに警戒色だ。
  ネット情報では、ヒトリガ幼虫は広食性とされ、
  多種多様な植物の葉っぱを食べる。
  しかし、食草に含まれた有毒のアルカロイドを、
  体内に蓄積・含有することができるようで、
  多くの捕食者は、よく目立つこの蛾を避ける【注】








ヒトリガ(ヒトリガ科)
イメージ 3
2016年9月5日 志賀坊森林公園・青森

しかも、こんな感じで危険を感じたら、
すばやく後翅の赤色を見せつける。

もちろん、飛び立つ直前にも見える「この鮮やかな色」は、
捕食者の攻撃を、一瞬でも躊躇させるはずだ。


 ⇒以前紹介したアサマキシタバの後翅表面の目玉模様と同じ機能だろう。

  【虫たちの目玉模様 これも自然淘汰?】
   ↓   ↓   ↓
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150218/1/

  しかし、ヒトリガの腹部の鮮やかな赤色は、
  カトカラの場合とは明らかに違って、
  運悪く、捕食されてしまった場合でも、
  野鳥類が不味成分を経験することで、
  おそらく2匹目の犠牲者は出ないのだ。







ヒトリガ(ヒトリガ科)
イメージ 4
2016年9月7日 志賀坊森林公園・青森

私が手で掴んだら、何故か硬直してしまった個体。

後翅だけでなく、胴体部分も明らかな警戒色でることが分かる。
これならば、最初から見せていても、多くの捕食者は学習するので、
突然見せる必要はないのかもしれない。

 ⇒このように、ふたつの防御手段を、
  同時に持っているということは、
  まだ「進化の試行錯誤(?)の段階」の可能性もあり、
  もしかしたら、将来どちらかのタイプだけになる可能性も、
  あるのかもしれない。







そして、今回のちょっとだけ不思議な発見!!!

 ⇒9月初旬の街灯には、時期的に、
  クスサンの飛来数がピークになる。

  そのご馳走を食べるために、
  学習したカラスが集まるのだが・・・








ヒトリガ(ヒトリガ科)
イメージ 5
2016年9月3日 志賀坊森林公園・青森

普通は、早朝に現場に行ってみると、
街灯の下の植え込みや下草部分に、
帰りそびれた沢山の蛾の仲間が見られる。

多くは、カラスや他の野鳥類の餌食になってしまうが・・・








ヒトリガ(ヒトリガ科)
イメージ 6
2016年9月7日 志賀坊森林公園・青森

付近には、翅を残してクスサンなどの死骸が散乱する。

しかし、よく目立つヒトリガだけ(多分?)は、
全く傷ついた様子もなく、新鮮な個体が見つかる。

 ⇒今回(9月)は、3日、4日、5日、7日と、
  4回も、朝4時起きして現場を訪れたのだが、
  何故か、4日を除く3回ともヒトリガが、
  無傷のまま10個体以上が確認されたのだ。







【注】日本の代表的な警戒色の虫たちを、
   以下のブログ記事にまとめてあります。

   【虫たちの防御戦略⑤ Ⅱ(4) 警戒色(標識色)】
    ↓   ↓   ↓
    http://kamemusi.no-mania.com/Date/201330209/1/




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