ちょっとだけ不思議な昆虫の世界(3)

今回で2度目の引っ越しです。 さりげなく(Sally Genak)虫たちの不思議な世界を紹介しています。

カテゴリ: 常夜灯の虫たち

【1510】

(前回のつづき)


ハンノアオカミキリ(カミキリムシ科)
SP-5190a
2023年7月30日 城ヶ倉・青森

金属光沢の体に真っ黒な紋が2列に並ぶ美しいカミキリの仲間。
残念ながら、常夜灯の下でのストロボ写真では、全く再現されない。
 ⇒個人的に、日本産美麗種の虫たちを選べば、
  間違いなく20本の指(手と足含めて!)に入る。



ホソヘリカメムシ(ホソヘリカメムシ科)
SP-5236a
2023年8月11日 三春PA・福島

マメ科植物の害虫として知られ、さらに幼虫時代にはアリ擬態として有名である。
 ⇒たまに、晩秋のダムサイトでも見かけるが、集団越冬はしないとされる。
  【クズの葉で見かけたアリ擬態① ホソヘリカメムシ幼虫】
    ↓   ↓   ↓



ミンミンゼミ(セミ科)
SP-5313a
2023年8月17日 矢立峠・秋田

セミは、完全な昼行性のはずだが、たまに常夜灯でも見かけることがある。
 ⇒樹上で鳴いているセミの写真は、なかなか撮れないが、
  早朝の林道では、下草に羽化直後の個体によく出会う。 



ミヤマクワガタ(クワガタムシ科)
SP-5387a
2023年8月22日 城ヶ倉・青森

個人的には、オオクワガタよりも頑丈で強そうなイメージがある。
 ⇒昔はよく見かけたような気がするが、最近は・・・?



スコットカメムシ(カメムシ科)
SP-5396a
2023年8月22日 城ヶ倉・青森

本種を常夜灯で見かけるのは、かなり珍しいことだと思う。
 ⇒同じ時期に、ダムサイトでは大集団になることもあるが・・・



キタササキリモドキ(キリギリス科)
SP-5400a
2023年8月24日 城ヶ倉・青森

青森県で出会う可能性があるササキリモドキの仲間は3種だけで、
それぞれ外観が明らかに異なっているので、写真同定が難しくない。
 ⇒同じ場所で出会ったムツセモンササキリモドキは以下の過去記事で・・・
 【ムツセモンササキリモドキ(2021) 樹上のキリギリス?】
    ↓   ↓   ↓



ベニモンツノカメムシ(ツノカメムシ科)
SP-5401a
2023年8月24日 城ヶ倉・青森

直射日光の下では、緑色地に鮮やかな赤色の配色が非常に美しいが、
ストロボ撮影では、鮮やかさがまるで再現できない。
 ⇒日本にはベニモンツノカメ属は8種が分布し、
  写真同定が難しい場合もあるので、注意が必要である。



セスジミドリカワゲラ属の一種(ミドリカワゲラ科)
SP-4826a
2023年8月26日 城ヶ倉・青森

日本産のミドリカワゲラ科には4属13種が記載されているが、
未記載種も複数確認されているようで、写真同定はできない。



ツノアオカメムシ(カメムシ科)
SP-5411a
2023年8月26日 城ヶ倉・青森

猛暑だった今年は、ダムサイトに集まる個体数は常連客が少ないのに、
本種が例外的に多かったような気がする。
 ⇒何故か、越冬色のようなイメージであるが、   
  もちろん本種は幼虫越冬である。




【1509】
10月も残り少なくなって、弘前市周辺は早くも冬の雰囲気が漂う。
当然、特殊な種を除いて、虫たちの姿を見る機会が少なくなってきた。
 ⇒昨日、車のタイヤも冬用に履き替えたので、いつ雪が降っても大丈夫だ。



労せずに虫たちを撮影できる常夜灯にも、ほとんど虫たちの姿はなくなったので、
今回から2回に分けて、今年常夜灯で出会った蛾以外の虫たちを撮影順に紹介したい。

クビワウスグロホソバ(ヒトリガ科)
SP-4086a
2023年6月10日 若草山・奈良

本種は、どこでも見かけるキマエクロホソバに似ているが、前翅前縁が黄色にならない。
 


ミツノゴミムシダマシ雄(ゴミムシダマシ科)
SP-4803a
2023年6月10日 若草山・奈良

頭部先端にオレンジ色の毛(?)が生えた突起が見える。
 ⇒ネット情報では、雄の頭部に3本のツノ(?)があるとされ、
  名前の由来となっているが、どんな意味があるのだろうか?



多分ヘラクヌギカメムシ(クヌギカメムシ科) 
SP-4551a
2023年6月20日 山形市・山形

常夜灯で見かけることはほとんどなかったが、公園のトイレの壁面で、
次々に数個体を見かけた。
 ⇒その中の1匹の交尾器を見て、ヘラクヌギであることを確認した。
  【カメムシ類の比較同定④ クヌギカメとヘラクヌギカメとサジクヌギカメ】
      ↓   ↓   ↓




マダラカマドウマ(カマドウマ科)
SP-4814a
2023年7月22日 城ヶ倉・青森

キリギリスに近い仲間で、日本全国に分布し洞穴や朽木などにいる。
 ⇒人家にも入りこむことがあり、昔は「便所コオロギ」と呼ばれていた。



カブトムシ雌(コガネムシ科)
SP-4817a
2023年7月23日 城ヶ倉・青森

タイトルにあるように、本種はカブトムシ目・コガネムシ科のカブトムシ亜科である。
ただ、ウィキペディア(Wikipedia)では、コウチュウ目となっていたが・・・
 ⇒以前は北海道には分布していないので、青森県が北限だったが、
  人為的に持ち込まれ、現在はほっかいどうにも定着している。



タイリククロスジヘビトンボ(ヘビトンボ科)
SP-5059a
2023年7月23日 城ヶ倉・青森

ネット情報では、日本に生息するヘビトンボの仲間は10種ほどが知られているが、
多くは南方系で、青森県に生息する可能性のあるのは3種のみである。
 ⇒近縁のヤマトクロスジヘビトンボとは、翅脈の一部の形状で見分けられる。



ヒメヒゲナガカミキリ(カミキリムシ科)
SP-4819a
2023年7月23日 城ヶ倉・青森

カミキリの仲間は、枯れ枝にいることが多いが、普通に林道を歩いていても、
このような模様では、なかなか見つけることはできない。
 ⇒なので、多くのカミキリ屋さんは、ビーティングで捕獲する。
  【落下する虫たちは最高!!(再考?)】
    ↓   ↓   ↓



多分ヒメギス(キリギリス科)
SP-5137a
2023年7月23日 矢立峠・秋田

キリギリスに見た目が似ていて小型なことから。この和名が付いた。


多分スジコガネ(コガネムシ科)
SP-4822a
2023年7月24日 矢立峠・秋田

上翅は赤紫色をしているが、黄褐色~黒色まで色彩変異が見られる。
 ⇒ただ、この写真では、近縁種オオスジコガネの可能性も捨てきれない。



アオカミキリモドキ(カミキリモドキ科)
SP-4824a
2023年7月29日 城ヶ倉・青森

頭部はオレンジ色で、上翅は青緑色の体が柔らかいく、黒い複眼が特徴的だ。
 ⇒体液に触れると、火傷の様な皮膚炎を起こすのでヤケドムシと呼ばれる。



(次回につづく)

【1507】
青森と秋田の(国道4号線)県境にある「道の駅矢立峠」の常夜灯にも虫たちが集まる。
 ⇒最近は、虫たちだけでなく、【虫屋】さんにもたまに出会うが・・・【注】




以下、撮影順・・・

ナカジロナミシャク(シャクガ科)
SP-5685a
2023年10月9日 矢立峠・秋田

本種は春にも見られ、前翅の中央部分が真っ白なのが名前の由来かも・・・
 ⇒幼虫がボタンヅルなどの有毒植物を食べるらしいが、
  ネット記事を確認しても、幼虫の写真は見つからなかった。




マエアカスカシノメイガ(ツトガ科)
SP-5686a
2023年10月9日 矢立峠・秋田

本種も、秋だけ見られるわけではないが、晩秋に出会うことが多いようだ。
 ⇒見た目そのままの、半透明の白い翅と前翅の前縁の赤褐色の筋が、
  名前の由来であるが、この写真では翅が透けて見えない。




シラホシキリガ(ヤガ科) 
SP-5688a
2023年10月9日 矢立峠・秋田

北方系・山地性の夏から秋にかけて見られる蛾で、前翅の白い模様が目立つ。
 ⇒ただ、少なくとも私には、白い模様が星には見えないのだが・・・




ゲジ(ゲジ科)
SP-5689a
2023年10月9日 矢立峠・秋田

ほとんどの人が標準和名である「ゲジ」と呼ばずに、「ゲジゲジ」というらしい・・・
 ⇒写真をよく見ると、小さな蛾を食べているのが分かる。




クロミスジシロエダシャク(シャクガ科)
SP-5690a
2023年10月9日 矢立峠・秋田

まさに名前のとおりの外観で、やはり秋になると見られる種のようだ。
 ⇒後端の4個の黒色斑紋の背景の薄いオレンジ色が、
  扇子(せんす)の根元の部分なのか?




キイロキリガ(ヤガ科)
SP-5691a
2023年10月9日 矢立峠・秋田

まさに枯れ葉のような色合いの蛾なので、当然だが(!)秋にのみ見られる。
 ⇒日本では北海道と本州中部以北に分布する普通種で、
  ネット情報では、個体数は少ないとされている。




チャオビチビコケガ(ヒトリガ科)
SP-5693a
2023年10月9日 矢立峠・秋田

今回は、あまり感動するような虫たちに出会えなかったが・・・
幸か不幸か、初見の蛾の名前を調べるのに、かなりの時間を使ってしまった。
 ⇒まさかの「ヒトリガ科」だったとは!!!



ナミガタアツバ(ヤガ科)
SP-5735a
2023年10月9日 矢立峠・秋田

ネット情報では、年2化で7月に発生し秋ごろにも見られ、成虫で越冬する。
 ⇒なので、翌春にも出会う可能性があるが、青森ではどうだろうか?





【注】前回の城ヶ倉と矢立峠は、直線郷里で50km程度しか離れていないが、
   2か所で共通に出会ったのは、マエアカスカシノメイガのみであった。
   おそらく実際には、他にも沢山いると思われるが・・・




【1506】
さすが北国!!!
猛暑の夏がようやく終わったかと思ったら、すでに晩秋の雰囲気が漂う。
お気に入りの八甲田山麓の常夜灯付近は、日没後に気温が6℃にまで低下する。
 ⇒この外気温では、虫たちは光に飛んでくることはできないかも・・・

そんなある日、寒さで震えながら常夜灯のある駐車場で待つことにした。
 ⇒実際には、夜9時までと、翌日の早朝に確認しただけ!!!




以下、撮影順・・・

ナカジロネグロエダシャク(シャクガ科)
SP-5648a
2023年10月8日 城ヶ倉・青森

多分気温が低すぎて、前日の夜からずっとこの場所に静止していたような雰囲気。
 ⇒秋になると常夜灯でよく見かけるエダシャクの仲間で、
  ほぼ同じ時期に出現するよく似たネグロエダシャクとは、
  内縁付近での内横線の走り方で識別可能だ。




ケンモンミドリキリガ((ヤガ科)
SP-5649a
2023年10月8日 城ヶ倉・青森

秋の訪れを感じさせる蛾で、この個体は緑色がメインで美しい。
 ⇒このような見た目の雰囲気がよく似ている蛾が数種いるが、
  斑紋や色合いの違いで識別可能である。




キタササキリモドキ(キリギリス科) 
SP-5650a
2023年10月8日 城ヶ倉・青森

やはり秋になると常夜灯で見かける短翅形の小型キリギリス類で、近似種が多く、
同定には交尾器の形態による識別が必要とされる。
 ⇒本種は、ブナなどの冷温帯林の樹上に生息するので、
  おそらく常夜灯以外でも目撃・採集例は少ないはず・・・




クギヌキハサミムシ(クギヌキハサミムシ科)
SP-5654a
2023年10月8日 城ヶ倉・青森

関東以北に分布する山地性のハサミムシの仲間で、いつでも見られるようだ。
 ⇒写真は残念ながら雌だが、雄のハサミには2タイプが知られており、
  いずれも長く立派で、一見の価値あり・・・(写真ないのに!)




キトガリキリガ(ヤガ科)
SP-5655a
2023年10月8日 城ヶ倉・青森

本種も秋を代表する蛾の仲間だが、体色に変異が大きいとされる。
 ⇒近縁種も含めて、日本で3種確認されており、
  前翅外縁のギザギザや模様などで、識別可能である。
  

 
コノシタウマ(カマドウマ科)
SP-5659a
2023年10月9日 城ヶ倉・青森

山地の林内に生息するカマドウマの仲間で、背中に淡褐色の帯がある。
 ⇒日本国内にマダラカマドウマ属は12種が知られているが、
  分布域が限定される種も多いようだ。



キリバエダシャク(シャクガ科)
SP-5662a
2023年10月9日 城ヶ倉・青森

鮮やかな橙黄色の翅と、脚先端と触角の白色が印象的な蛾である。
 ⇒本種も、秋を代表する蛾とされている。




ヒメヤママユ(ヤママユガ科)
SP-5665a
2023年10月9日 城ヶ倉・青森

今年は、常夜灯の周辺を飛び回るクスサンに出会うことはなく、
クロウスタビガやヤママユの姿を見ることもなかった。
 ⇒ようやく1匹だけ、翅がボロボロのヒメヤママユを撮影できた。



【1382】

今年(2022)も、常夜灯に集まる蛾の写真、労せずに沢山撮ることができました。

 ⇒その中で、今回は秋にしか見られない蛾のみを紹介します。
  なので、秋にも見られる蛾については、別の機会に・・・





まずは、大型のヤママユ科3種から・・・


クスサン(ヤママユガ科)
SP-3129a
2022年10月1日 城ヶ倉・青森

晩秋というより、普通に秋の大型の蛾というイメージですが、常夜灯の周りを、
集団で飛び回っているのを見かけます。

 ⇒前翅をもっと開くと、後翅の典型的な目玉模様が出現し、捕食者を驚かせます。

  【虫たちの生き残り戦略⑯ 捕食者を欺く(2) 大きな目玉模様】
     ↓   ↓   ↓


幼虫はクリ、クヌギ、コナラ、サクラ、ウメ、イチョウ、クスノキなど、
様々な樹木の葉を食べ、年1回の発生で卵で越冬します。







クロウスタビガ(ヤママユガ科)
SP-3125a
2022年10月1日 矢立峠・秋田

北国では、短い夏があっという間に過ぎて、普通(?)の秋もすぐに終わって、
晩秋を感じさせる頃になると、さりげなく出現する有名な蛾です。

チョウ類とは違う「蛾の仲間ならでは!!」のくすんだような微妙な雰囲気は、
出現時期もあって、大人気の大型の蛾だと思います。

 ⇒よく言われる言葉ですが、思いがけないところに静止しているのを見つけると、
  思わず「元気ですか!?」と声をかけたくなるほどの独特の美しさです。


幼虫は、ミカン科のキハダの葉を食べますが、残念ながら、
ネット上には、幼虫の写真を見つけられませんでした。







ヒメヤママユ(ヤママユガ科)
SP-3132a
2022年10月1日 城ヶ倉・青森

3番目も、やはり秋の到来を告げる大型のヤママユガ科の仲間です。

本種は、常夜灯の周りを飛び回るヤママユやクスサンと違って、
活動時期に気温が低いこともあって、活発に飛び回るイメージはありません。

 ⇒卵越冬で、4月下旬に孵化し、6月には蛹化しますが、
  そのまま夏を超えて、秋に羽化します。


幼虫は、サクラ、ナシ、ウメ、クリ、クヌギ、ケヤキなど、
いろいろな樹木の葉を食べる太ったイモムシ(終齢幼虫)です。






ノコメトガリキリガ(ヤガ科)
SP-3119a
2022年10月1日 矢立峠・秋田

淡褐色の前翅に、茶褐色の斜めの直線が走り、細い線の縁取りの紋が見えます。

 ⇒本種も、晩秋にだけ見られる有名な蛾で、
  常夜灯に集まる蛾が急に少なくなった頃の常連客です。


幼虫の食樹として、バラ科のモモなどが知られています。







ケンモンミドリキリガ(ヤガ科)
SP-3133a
2022年10月2日 城ヶ倉・青森

秋にのみ出現する特異な模様の蛾で、日本全国に分布します。
よく似た種が沢山いて、それぞれに詳細な相違点は沢山あるようですが、
本種に限って言えば、全体的な印象(雰囲気?)が異なるような気がします。

 ⇒この見た目では、ウメノキゴケの上に静止していたら、拍手喝采ですが、
  私はその現場の遭遇したことはありません・・・(気付かないだけ?)。


幼虫の餌植物として、地衣類ではなく(!!)、チドリノキ(カエデ科)や、
ヤマザクラ(バラ科)などが知られています。






オオトビモンシャチホコ(シャチホコガ科)
SP-3127a
2022年10月1日 矢立峠・秋田

普通は春~夏に見かけるシャチホコガの仲間ですが、本種は例外的に秋の常夜灯に飛来します。
約7年ほど前の6月(!)に、コナラの木にいた終齢幼虫の第集団を見かけたことがあります。

 ⇒本種は年1化なので、多分夏眠して秋に羽化するのです。

  【オオトビモンシャチホコ幼虫集団】
    ↓   ↓   ↓
 






キイロキリガ(ヤガ科)
SP-3131a
2022年10月2日 城ヶ倉・青森

まさに枯れ葉のような色合いの蛾なので、当然ですが(!)秋にのみ見られます。

 ⇒日本では北海道と本州中部以北に分布する普通種ですが、
  ネット情報では、個体数は少ないとされています。


幼虫は多食性で、何故か植物名は特定されていません。






ウストビモンナミシャク(シャクガ科)
SP-3123a
2022年10月1日 矢立峠・秋田

前翅には褐色地に灰色の帯があり、先端に暗褐色のリボンのような紋があります。

 ⇒写真のように、腹端を反り返らせていますが、
  この静止姿勢が普通のようで、何か意味があるのでしょうか?


幼虫は、ブドウ、ヤマブドウ、ツタなどを食べます。



このページのトップヘ