ちょっとだけ不思議な昆虫の世界(3)

今回で2度目の引っ越しです。 さりげなく(Sally Genak)虫たちの不思議な世界を紹介しています。

カテゴリ: ダムサイト

【1509】
今年(2023)は、猛暑の夏が長かったことが原因(多分?)のひとつで、
晩秋のダムサイトに集まる虫たちの種類と個体数が、例年とかなり異なっていた。



以下、ダムサイトで出会ったカメムシ以外の虫たち(別記事になった虫たちは除く)

ベッコウハゴロモ(ハゴロモ科)
SP-5762a
2023年9月30日 津軽ダム・青森

本種は卵越冬なので、ダムサイトで見かけたことはこれまでなかったが、
多分偶然の結果として、この一匹だけ暖かいダムサイトに飛来したのだろう。



キイロスズメバチ(スズメバチ科)
SP-5605a
2023年10月3日 津軽ダム・青森

お腹が長く、触角もやや長めなので、どうやら交尾待機中の雄のようである。

 【ちょっとだけ不思議な光景! キイロスズメバチの雄たち】
       ↓   ↓   ↓



多分ハナバチの仲間
SP-5610a
2023年10月3日 津軽ダム・青森

近づいたら、元気よく飛び立って行った。
 ⇒ハナバチの仲間は、おそらく巣の中で、成虫越冬するようだ。



ヒガシニホントカゲ(トカゲ科)
SP-5674a
2023年10月9日 玉川ダム・秋田

ネット情報では、近畿以西の西日本に分布するニホントカゲの姉妹種とされる。
 ⇒天敵に襲われそうになった場合、尾を自切することがある。
  切り離された尾はしばらく動き回り、外敵の注意を引く働きをする。
  


ナシイラガ幼虫(イラガ科)
SP-5676a
2023年10月9日 玉川ダム・秋田

ちょっとだけ不思議なことに、幼虫が手摺(てすり)部分で見つかった。
本種は、繭の中で前蛹越冬することが知られているので、移動中かも・・・?)



クロウリハムシ(ハムシ科)
SP-5712a
2023年10月11日 津軽ダム・青森

ウリ科の作物の害虫として知られ、時々大発生することがあるようだ。
 ⇒過去記事で何度も紹介しているっように、
  ハムシの仲間のこのような黒と黄色の体色は警戒色とされ、
  体内に不味成分を持つため、野鳥類などに捕食されることはない。



ヤンコウスキーキリガ(ヤガ科)
SP-5753a
2023年10月18日 浅瀬石ダム・青森

ヤンコウスキーキリガは、局地的に分布する蛾で、蛾マニアが憧れる美麗種だ。
 ⇒まさか、ダムサイトで出会えるとは!!!

  【ヤンコスキーキリガ 奇跡のツーショット】
       ↓   ↓   ↓



ツマグロオオヨコバイ(ヨコバイ科)
SP-5810a
2023年10月31日 玉川ダム・秋田

ヨコバイの仲間を晩秋のダムサイトで見かけるのは、ほとんどないので、
やはり今年は、ちょっとだけいつもと違っているようだ。



カメノコテントウ(テントウムシ科)
SP-5811a
2023年10月31日 玉川ダム・秋田

こちらは常連客だが、ちょっとだけ不思議なことに、今年はこの個体が初見である。






・・・ 蛇 足 ・・・

まだら紅葉の岩木山
SP-5763a
2023年10月23日 西目屋から撮影・青森

標高差による気温の変化と植物の種類がうまく重なると、山頂の雪も含めて、
白・黒・緑・赤の見事なまだら模様になる。

【1511】
今年(2023)は、猛暑の夏が長かったことが原因(多分?)かもしれないが、
特に、毎年の状況がなんとなく分かる秋の常夜灯に集まる虫たちの雰囲気や、
晩秋のダムサイトに立ち寄る虫たち(特にカメムシ)の種類と個体数が、
例年と明らかに異なっているような気がする。
 ⇒実際に数人の農家の人たちも、今年カメムシ(多分クサギ?)の数が、
  明らかに少ないと言っていた。

もうひとつ例年と違うのは、東北地方の北部では、秋晴れの日が少なく、
ダムサイトに1日中、直射日光が当たっていることがほとんどなかったのだ。
 ⇒もちろんこの現象は、ただ単に平均気温の変動幅が大きかっただけが原因で、
  特に大騒ぎすることではないのかもしれないが・・・


 
以下、今年の秋にダムサイトで出会ったカメムシ・・・(写真は撮影順)

ツノアオカメムシ(カメムシ科)
SP-5594a
2023年9月30日 津軽ダム・青森

本種は幼虫越冬なのに、成虫がダムサイトに集まる理由は・・・(?)
 ⇒しかも、今年は例年になく、集まる個体数が多かったような気がする。



クサギカメムシ(カメムシ科)
SP-5618a
2023年10月3日 浅瀬石ダム・青森

晩秋のダムサイトの常連客だが、今年は明らかに個体数が少ない。



チャバネアオカメムシ(カメムシ科)
SP-5619a
2023年10月3日 浅瀬石ダム・青森

果樹害虫として知られ、ダムサイトではあまり見かけない種である。



ツマジロカメムシ(カメムシ科)
SP-5677a
2023年10月9日 玉川ダム・秋田

例年はよく似たスコットカメムシも多いのだが、今年はクサギカメムシと同様に、
明らかにダムサイトに集まる個体数は少ない。



多分クロヒメツノカメムシ(ツノカメムシ科)
SP-5682a
2023年10月9日 玉川ダム・秋田

ダムサイトでは、あまり見かけないツノカメで、見かけたのはこの1個体のみ。



ミヤマツノカメムシ(ツノカメムシ科
SP-5709a
2023年10月11日 津軽ダム・青森

例年は、ダムサイトで最もよく見かける種だが、今年はこの個体だけだった。



ホソヘリカメムシ(ホソヘリカメムシ科)
SP-5710a
2023年10月11日 津軽ダム・青森

ダムサイトであまり見かけないような気がするが、今年は3個体に出会った。



ヨツモンカメムシ(クヌギカメムシ科)
SP-5765a
2023年10月23日 津軽ダム・青森

本種は、晩秋のダムサイトの常連客で、今年も数個体見かけた。



オオトビサシガメ(サシガメ科)
SP-5778a
2023年10月31日 玉川ダム・秋田

例年よく見かけるサシガメの仲間で、今年も普通に出会ったのだが・・・
 ⇒今年は2度行ってみたが、玉川ダムで大型ツノカメに出会うことはなかった。




・・・ 蛇 足 ・・・

クマ出没中の看板
SP-5764a
2023年10月23日 津軽ダム・青森

今年は、猛暑の夏が過ぎて10月に入ってから、日本各地でツキノワグマが出没し、
人や農産物に被害を与えていると、テレビや新聞で報道されている。
 ⇒青森や秋田の常夜灯やダムサイトに行くたびに、
  「クマ注意」の看板があって、さりげなく警戒してしまう。

津軽ダムも直接の被害はないようだが、クマの目撃例が相次いでいて、
注意喚起の写真を見ると、ダムサイトの駐車場や歩道にクマが出没している。
 ⇒私も一度だけ、実際にツキノワグマに遭遇して、写真を撮ったことがある。

   【ある~ひ ○のなか くまさんに であ~った】
       ↓   ↓   ↓





【1455】
晩秋のダムサイトには、越冬場所に移動する途中の虫たちが立ち寄ることが、
特にカメムシマニアの人たちの間で、昔から知られていた。

しかし、前回の記事で紹介したように、早春のダムサイトにも、
越冬場所から通常の生息地に移動する虫たちがいることが分かった

 ⇒ただ、集まる虫たちの種類は、晩秋と早春では、
  微妙に異なっているように感じた。






カメノコテントウ(テントウムシ科)
SP-3459a
2023年5月5日 津軽ダム・青森

晩秋のダムサイトの常連客であるが、交尾カップルには一度も出会っていない。

 ⇒今回は、数組の交尾カップルが見られたが、
  これが晩秋と早春の違いなのかもしれない。




ヒメアカボシテントウ(テントウムシ科)
SP-3469a
2023年5月5日 津軽ダム・青森

晩秋の津軽ダムには、沢山のテントウムシの仲間が集まってくるが、
何故か、今回はナミテントウの姿を見ることはなかった。

 ⇒最初はナミテントウと思ったが、より小型の本種だったので、
  ナミテントウが見つからない理由は何なんだろうか?





キクビアオハムシ(ハムシ科)
SP-3462a
2023年5月5日 津軽ダム・青森

ダムサイト以外でも普通に見られる種類で、上翅の金緑色と胸部の黄褐色が、
微妙なコントラストとなっている。

 ⇒晩秋のダムサイトでは、これまで多分出会っていないと思う。




ミヤマヒラタハムシ(ハムシ科)
SP-3465a
2023年5月5日 津軽ダム・青森

名前のとおり平べったいハムシで、通常状態のクルミハムシによく似ている。

 ⇒両種とも、晩秋のダムサイトでは、多分出会ったことがない。




ヤナギハムシ(ハムシ科)
SP-3479a
2023年5月5日 津軽ダム・青森

赤色と黒色の典型的な警戒色のハムシの仲間で、模様には変異が大きいようだ。

⇒晩秋のダムサイトでは、多分出会っていない。




ワモンナガハムシ(ハムシ科)
SP-3471a
2023年5月5日 津軽ダム・青森

上翅の真っ白な斑紋がよく目立つハムシで、個人的に初見の種である。

 ⇒もちろん、晩秋のダムサイトでも出会っていない。




多分ハネカクシの仲間(ハネカクシ科)
SP-3474a
2023年5月5日 津軽ダム・青森

種名は同定できなかったが、翅の短さからハネカクシの仲間だろう。

 ⇒本種は、おそらく歩いてダムサイトに矢って来たのだろう。




・・・というわけで
早春のダムサイトに集まる虫たちの種類は、
晩秋の場合とは異なる可能性もあるようだ。
今年はすでに時期が過ぎてしまったが、
これで来年以降の楽しみが、一気に増加したことになる。







【1454】
このブログで何度も記事にしている「晩秋のダムサイトに集まる虫たち」は、
多くが越冬場所に移動する途中に、暖かいダムサイトに立ち寄ったものだ。

それなら、越冬場所から通常の生息場所に移動する途中で立ち寄る虫たちも、
もしかしたらいるのかもしれないと、実は数年前から思っていた。


連休中に遊びに来ていた子供や孫たちと、近くの「津軽ダム」に行ってみた。

 ⇒当日の目的であったダム湖の水陸両用バスは、
  残念ながら、一日中予約で満席だった。・・・

孫は多少落ち込んでいたが、幸運はさりげなくやってきた。
車ダムサイトには「まさか?」と言う感じで、沢山のカメムシがいたのだ。
もちろん、暖められたコンクリート面で見かけた他の虫たちも、
まるで晩秋のような雰囲気そのものであった。
  
 ⇒最近、道の駅などの常夜灯がLEDに変更されたので、
  そこに集まってくる虫たちがめっきり少なくなって、
  労せずに虫たちの写真を撮ることが出来にくくなってきた。
  だから、早春のダムサイトも晩秋の場合と同様に、
  有力な「省エネ撮影スポット」の仲間入りする・・・(?)





トビイロオオヒラタカメムシ(ヒラタカメムシ科)
SP-3467a
2023年5月5日 津軽ダム・青森

ヒラタカメムシの仲間は、小型で見た目の特徴ががよく似ているので、
通常は写真同定をギブアップするのだが・・・【注】

 ⇒本種の腹部は光沢のない黒褐色で、短い翅の部分の白色が目立つ。
  さらに、腹部結合板に黄褐色の斑紋が点在する顕著な特徴から、
  青森県で採集記録があるトビイロオオヒラタカメムシと同定した。

ただ、小さな翅なので飛べる雰囲気ではなく、ここまで歩いて来たのだろう。


【注】手元の「日本原色カメムシ図鑑第3巻」によると、
   ヒラタカメムシ科は国内に約50種程度か知られるが、
   未記載種が多く残されているので、今後倍増すると予想されている。






オオツマキヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)
SP-3461a
2023年5月5日 津軽ダム・青森 

本種は、北日本に広く分布し、色々な植物の茎に集団を形成するが、
晩秋のダムサイトで見かけることは、ほとんどない。

 ⇒まさか、早春のダムサイトで出会うとは・・・






ヨツモンカメムシ(クヌギカメムシ科)
SP-3460a
2023年5月5日 津軽ダム・青森 

こちらは、晩秋のダムサイトの常連客で、今回(早春!)も多数見かけた。

 ⇒本種は西日本ではかなりの珍品とされるが、
  少なくとも、青森では普通種である。






クサギカメムシ(カメムシ科)
SP-3458a
2023年5月5日 津軽ダム・青森 

何といっても、いつでもどこでも最も普通に見られるカメムシである。

 ⇒最近では、果樹害虫としてよりも、
  むしろ、不快害虫として知られるようだ。





ダムのコンクリート面ではないが、周辺の雑草地には、上記4種以外に、
ブチヒゲカメムシ、ナガメ、小型のヒメヘリカメムシ類が見られた。
ただ、ダムサイトの暖かさに誘引されたものではなさそうだ。






【1394】
今年(2022)のダムサイト巡りは、数年ぶりに関東方面にまで足を延ばして、
これまでに、6か所のダムで見かけた虫たちを紹介してきました。

ただ、ご存知のように、晩秋のダムサイトに集まる虫たちにとっては、おそらく、
特定の条件が揃わないと、暖かいコンクリートのダムに向かうことはしないようです。

 ⇒つまり虫たちにとって、当日が【1】快晴であること、【2】風が強くないこと
  そして、【3】多分10月中旬~11月初旬の昼間の時間帯であること、
  の3つの条件が全て揃うことが必要なのです。

もちろん、沢山の種類のカメムシ類に一度に出会うためには、
【4】ダム付近の植物相が豊富であることや、【5】ダムの上の通路を歩けることが、
そこに集まる虫たちの写真を撮るための重要なポイントになります。


・・・というわけで、
このシリーズ最後は、おそらく上記①~⑤の条件のひとつ以上が欠けているため、
虫たちの写真をほとんど撮ることができなかった残念なダムの紹介です。



⑦ 楮川ダム 茨城県水戸市
SP-3405a
河川をせき止めたダムではなく、約5km離れた那珂川で取水した水を、
導水管で葉間で貯留している珍しいダムとのことです。


トノサマバッタ(バッタ科)
SP-3313a
2022年10月20日 楮川ダム・茨城

北国ではあまり見られない(多分?)トノサマバッタがいました。




⑧ 大町ダム 長野県大町市
SP-3368a
信濃川水系高瀬川に建設されたダムで、紅葉の時期は観光客もカメムシも、
沢山見かけるのですが、今回は単に到着時刻が遅かっただけなのか・・・

前回(2016年10月22日)は、12種のカメムシに出会えたのに・・・

【ダムサイトのカメムシ 大町ダム2016】
      ↓   ↓   ↓



マツヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)
SP-3369a
2022年10月27日 大町ダム・長野

本種は、このダムで数年前にも見かけたことがある北米からの外来種で、
ちょっとだけ不思議なことに、ダム付近に定着しているようです。




⑨ 内村ダム 長野県上田市
SP-3382a
信濃川水系依田川支流内村川に建設されたやや小さめ(?)の多目的ダムで、
松本市内からは、最近無料化された松本トンネルを抜けると左手に見えてきます。


クサギカメムシ(カメムシ科)
SP-3383a
2022年10月28日 内村ダム・長野

当日は集まる虫たちが少なく、カメムシは本種のみが確認されました。



⑩ 塩沢ダム 群馬県多野郡神流町 
SP-3398a
利根川水系神流川支流の塩沢川に建設されたやや小さめ(?)の多目的ダムで
十石峠から群馬県側に降りて、R462を左手側に少し入った場所にあります。


オオトビサシガメ(サシガメ科)
SP-3399a
2022年10月29日 塩沢ダム・群馬

当日は14時ころの到着だったためか、かろうじて(?)出会ったのは本種が数匹と、
あとは、いつものクサギカメムシだけでした。




⑪ 下久保ダム 群馬県藤岡市  
SP-3402a
利根川水系神流川に建設された多目的ダムで、R462沿いにあります。


クサギカメムシ(カメムシ科)
SP-3401a
2022年10月29日 下久保ダム・群馬

到着時間が遅かったこともあって、クサギカメムシのみに出会いました。




(以上で、晩秋のダムサイトの虫たちシリーズを終了しました)



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