ちょっとだけ不思議な昆虫の世界(3)

今回で2度目の引っ越しです。 さりげなく(Sally Genak)虫たちの不思議な世界を紹介しています。

カテゴリ: カミキリ成虫の様々な生存戦略


(前回からの続きです)

多くの方が経験していることだと思いますが、カミキリムシを手で掴むと、
ほとんどの種類が「キイキイ」という威嚇音を出します。

多くは、前胸と中胸をこすり合わせて、発音すると言われています。

 ⇒もしかすると、今回は捕食者に捕獲されてしまったときに、
  この音を出すと、ビックリさせる効果があるかもしれません。







21: ニセリンゴカミキリ(カミキリムシ科)  
21 SG-2762a
2013年6月6日 ひたちなか市・茨城

 ➡➡➡ ベイツ型擬態: モデルは小さなハチの仲間

この写真のアングルでは、まさにハチのように見えます。

 ⇒よく見かける「チュウレンジハバチ」と間違えるほど似ています。
  もちろん、名も知らぬ(?)ハバチの仲間には、
  こんな雰囲気の種類が沢山います。








22: ゴマフカミキリ(カミキリムシ科)
22 SG-6667a
2013年6月25日 酸ヶ湯温泉・青森

 ➡➡➡ 保護色または隠蔽的擬態: 

褐色~灰色系のカミキリの仲間は、歩行速度が遅い(?)こともあって、
枯れ枝などにいると、なかなか見つけることができません。

 ⇒そこで、ビーティングと言う採集方法が有効になってきます。

    【地面に落下する虫たちは最高!!(再考?) 】
     ↓   ↓   ↓








23: フタコブルリハナカミキリ(カミキリムシ科)  
23 SG-6737a
2013年7月14日 酸ヶ湯温泉・青森

 ➡➡➡ ベイツ型擬態: モデルはカミキリモドキ

本種の上翅は、青巒食から黒色までの変異があるようですが、
肉食性の「アオジョウカイ」にベイツ型擬態していると言われています。

 ⇒確かに、最初はよく見かけるアオジョウカイに見えました。
  実際には、体内に有毒成分を持っている「アオカミキリモドキ」が、
  モデルなのかもしれません。







24: カンボウホソトラカミキリ(カミキリムシ科)  
24 SG-6738a
2013年7月14日 酸ヶ湯温泉・青森

 ➡➡➡ ベイツ型擬態: モデルはハチ 

白と黒の線状の模様が、有毒をイメージさせませんが、
もともとハチとカミキリは身体が細長いので、
模様が似ていれば、間違える可能性が高いのかもしれません。

 ⇒ネット写真でよく似たハチの仲間を探していると、
  やや灰色の「ペレーヒゲベッコウ」などに似ています。









25: ヒメヒゲナガカミキリ(カミキリムシ科)  
25 SG-6770a
2013年7月14日 蔦温泉・青森

 ➡➡➡ 保護色または隠蔽的擬態: 黒っぽい樹皮

むしろ、白黒の長い触角が目立ってしまうような・・・









26: 多分ハネビロハナカミキリ(カミキリムシ科)  
26 SG-6782a
2013年7月14日 蔦温泉・青森

 ➡➡➡ ベイツ型擬態: モデルはカミキリモドキ

ジョウカイボンのようなイメージのカミキリですが、
この色合いは、有毒の「キイロカミキリモドキ」や
「キイロゲンセイ」に似ています

 【光に誘引された甲虫類③ 比較的稀な種(2018) 】
     ↓   ↓   ↓










27: セミスジコブヒゲカミキリ(カミキリムシ科)  
27 SG-7401a
2013年8月5日 東海村・茨城

 ➡➡➡ 非食物擬態: モデル(?)は鳥の糞
もしかしたら
 ➡➡➡ 保護色または隠蔽的擬態: 白っぽい樹皮

上の写真のような状況で、緑色の葉っぱの上に静止している場合には、
普通に鳥の糞擬態だと思います。

白っぽい樹皮の幹にいると、明らかに保護色になると思います。









28: フタスジハナカミキリ(カミキリムシ科)  
28 SG-7454a
2013年8月7日 安曇野・長野

 ➡➡➡ ベイツ型擬態: モデルはスズメバチ

やはり、この配色はスズメバチの仲間に似ています。
こんな感じで、花にいなくても、一瞬ハチと間違えてしまいます。









29: ノコギリカミキリ(カミキリムシ科)  
29 SG-7487a
2013年8月11日 ひたちなか市・茨城

 ➡➡➡ 大型で硬い外骨格

カブトムシやクワガタの仲間が、野鳥類の餌としては大きすぎるのと同様に、
大型のカミキリムシの仲間も、小鳥の餌としては不適当です。

また、冒頭のように、前胸と中胸をこすり合わせて、発音するので、
もしかすると、今回は捕食者に捕獲されてしまったときに、
この音を出すと、ビックリさせる効果があるかもしれません。

 ⇒ですから、特別な防御手段を持つ必要はなく、その大きさと外骨格の硬さだけで、
  多くの野鳥類の攻撃から逃れている可能性があると思います。









30: ナガゴマフカミキリ(カミキリムシ科)  
30 SG-7493a
2013年8月11日 ひたちなか市・茨城

 ➡➡➡ 保護色または隠蔽的擬態:

一般的な茶褐色と白色が混じりあったような樹皮の幹にいると、
明らかに保護色になると思います。

まさかというようなニイニイゼミでも、完全に背景の樹皮に一致すると、
写真を見ても、全く探し出すことができなくなります。

 【保護色の虫たちを探す疑似体験③ 特別編】
    ↓   ↓   ↓




(このシリーズ、大人の事情で一旦休止します)

 ⇒よく言われるフレーズ「忘れた頃に再開」予定です。





(前回からの続きです)


日本国内に分布するカミキリの仲間は、約800種類が知られているようですが、
そのうち普通に(?)見られるのは、おそらくその半分程度かもしれません。

このシリーズでは、私が現在までに撮ることができた約80種の中から、
成虫が何らかの「捕食者に対する防御手段」を持つと思われる種類を選択して、
撮影順(!)に並べてみました。






11: エグリトラカミキリ(カミキリムシ科) 
11 SG-3682a
2011年6月26日 白岩森林公園・青森

 ➡➡➡ ベイツ型擬態(?): モデルは小さなハチ

前回の「07: クロトラカミキリ」とよく似ていますが、背景の状況では、
小さなハチに見えることがあります。

 ⇒いずれにしても、このような黄色と黒色の模様は、よく目だつので、
  人間の世界(?)でも、道路標識などで使われています。
  
  






12: ホソツツリンゴカミキリ(カミキリムシ科) 
12 SG-4148a
2011年8月2日 だんぶり池・青森

 ➡➡➡ ベイツ型擬態: モデルはホタル
または、
 ➡➡➡ 隠蔽的擬態: モデルは枯れ枝(?)

赤と黒のツートンカラーで、ホタルに似ています。
ただ、身体が極端に細長いので、枯れ枝に静止していると、
隠蔽的擬態の範疇になるのかもしれません。








13: シラフヒゲナガカミキリ(カミキリムシ科)
13 SG-4259a
2011年8月15日 乗鞍高原・長野

 ➡➡➡ 保護色: 背景は樹皮や地衣類

上の写真でも、瞬間的に探し出すのは難しいほど、背景に溶け込んでいます。
 ⇒撮影時は、さりげなく上を見上げたときに偶然に見つけたので、
  カミキリを見つけて、ちょっとだけビックリしました。

しかし、葉っぱの上で静止している場合は、カミキリの輪郭がはっきり見えて、
当然のこととして、かなり目立つ存在になってしまいます。

 【ヒマを見つけて擬態の話《3》 隠蔽的擬態のあれやこれやの話 】
     ↓   ↓   ↓








14: アカネカミキリ(カミキリムシ科)  
14 SG-5026a
2012年5月18日 白岩森林公園・青森

 ➡➡➡ ベイツ型擬態: モデルはアリ

最初に見つけたときには、よく見かける「ムネアカオオアリ」と間違えました。

 ⇒ただ、このとき以来、アリと間違えることはなくなりましたが・・・!!

 【アリのようなカミキリ発見!!】
    ↓   ↓   ↓








15: マツシタトラカミキリ(カミキリムシ科)  
15 SG-2113a
2012年6月19日 白岩森林公園・青森

 ➡➡➡ ベイツ型擬態: モデルはアリ

撮影アングルや距離にもよりますが、前種(14)よりもっと、
サイズ的にも「ムネアカオオアリ」に似ています。

 ⇒こっちの方は、たまに間違えます。

 【マツシタトラカミキリ? ムネアカオオアリ??】
    ↓   ↓   ↓








16: ヤツメカミキリ(カミキリムシ科)  
16 SG-5375a
2012年6月20日 芝谷地湿原・秋田

 ➡➡➡ 警戒色: 微妙な有毒植物を食べる (サクラやウメの葉っぱ)

緑がかった黄褐色の微毛で覆われた綺麗な体長は15mm程度のカミキリ。

一般的な構造色による金属光沢ではないが、まるで警戒色のようによく目立つので、
捕食者が非生物(食べ物でない)と判断する可能性があります。


カミキリムシ科の中でも、トホシカミキリやシラホシカミキリ、ラミーカミキリなど、
トホシカミキリ族 (Saperdini)の仲間は、美麗種あるいはよく目立つ種が多い【注】ので、
捕食者に何かしらの特別な信号を発信して、捕食されにくくしている可能性もあります。

 ⇒トホシカミキリ族のカミキリ成虫は、寄主植物の葉を後食し、
  その多くが微妙な有毒植物(?)と思われる場合もあるので、
  何らかの関連があるのかもしれません。




【注】トホシカミキリ族 (Saperdini)は、以下の17種が知られていますが、
   その多くはいわゆる美麗種で、葉っぱの上にいるとよく目立ちます。
   成虫は寄主植物の葉を後食しますが、微妙な有毒植物(*)のようです。

   ムネモンヤツボシカミキリ Saperda tetrastigma  サルナシ、ツルアジサイ
   ハンノキカミキリ Cagosima sanguinolenta  ハンノキ
   ヨツキボシカミキリ Epiglenea comes comes  ヌルデ、ネムノキ、ヤマウルシ
   ヤツメカミキリ Eutetrapha ocelota  ウメ、サクラ、シナノキ
   シラホシカミキリ Glenea relicta relicta  リョウブ、オヒョウ、アジサイ
   ラミーカミキリ Palagrenea frotunei  ラミー、カラムシ、イラクサ
   ニセシラホシカミキリ Pareutetrapha simulans  サワフタギ、ツルハシバミ
   フチグロヤツボシカミキリ Pareutetrapha eximia  ホオノキ、コブシ
   キクスイカミキリ Phytoesia rufiventris  ヨモギ、キク
   ヒゲナガヒメルリカミキリ Praolia citrinipes   アブラチャン、リョウブ
   アサカミキリ Thyestilla gebleri  アサ、ラミー
   リンゴカミキリ Oberea japonica  ナシ、リンゴ、モモ、ナナカマド
   ヒメリンゴカミキリ Oberea hebescens  クスノキ、クロモジ、アブラチャン
   ホソキリンゴカミキリ Oberea infranigrescens  フジ、ハギ、アジサイ
   ホソツツリンゴカミキリ Oberea nigriventris  イケマ
   シラハタリンゴカミキリ Oberea shirahatai  スイカズラ
   ヘリグロリンゴカミキリ Nupserha marginella  アザミ

   (*)以下の過去記事で紹介したように、捕食者の好き嫌いによって、
    微妙に捕食を免れている場合もありそうです。

    【警戒色の虫たちと有毒植物① 葉っぱの味は?】
       ↓   ↓   ↓
     
    【警戒色の虫たちと有毒植物② 虫たちにも好き嫌い】
       ↓   ↓   ↓
     
    【警戒色の虫たちと有毒植物③ アブラナ科】
       ↓   ↓   ↓
     
    【警戒色の虫たちと有毒植物④ イラクサ科】
       ↓   ↓   ↓
     
    【警戒色の虫たちと有毒植物⑤ セリ科】
       ↓   ↓   ↓
    







17: ホタルカミキリ(カミキリムシ科)  
17 SG-2130a
2012年6月27日 蓮華温泉・新潟

 ➡➡➡ ベイツ型擬態: モデルはホタル

名前からして、明らかにホタルに似ています。

 ⇒この配色の「ゲンジボタル」などは、体内に不味成分を持っていて、
  捕食者は避けることが知られています。







18: ハンノキカミキリ(カミキリムシ科)  
18 SG-5531a
2012年6月28日 燕岳山麓・長野

 ➡➡➡ ベイツ型擬態: モデルはホタル

この写真では多少分かりにくいかもしれませんが、胸部が赤色なので、
大まかには「ゲンジボタル」のようなイメージだと思います。

 ⇒モデルになっているのか、確かではありませんが、
  「アカヘリサシガメ」や「ルイスクビナガハムシ」にも、
  微妙に似ているかもしれません。








19: ムネアカクロカミキリ(カミキリムシ科)  
19 SG-2796a
2013年6月2日 東海村・茨城

 ➡➡➡ ベイツ型擬態: モデルはホタル

クロハナカミキリの雌にも似ていますが、写真同定はできません。

 ⇒ここではムネアカクロハナカミキリとしましたが、
  ネット情報による識別方法は、確認できませんでした。
  ただ写真で見る限り、腹部の先端が凸になっているようです。
   







20: ヨツキボシカミキリ(カミキリムシ科)  
20 SG-6310a
2013年6月4日 小舟野沢林道・茨城

 ➡➡➡ ベイツ型擬態: モデルは小さなハチの仲間

黄色と黒色の模様は、緑の葉っぱの上では、確かによく目立ちます。

逆に、この配色でハチに似ていない(=捕食者に見破られる)ならば、
よく目立つので、簡単に見つかって食べられてしまうはずです。





(このまま次回に続きます)


カミキリムシの仲間は、幼虫時代には植物の内部に入り込んで生活しているので、
食べ物は周辺にいくらでもあり、捕食者の餌食になることは基本的にありません、

しかし、成虫になってからは、捕食者から狙われる機会が急増します。

カミキリの成虫には、絶対的な防御手段はないので、必然的に捕食者の視覚を騙して、
アリ、鳥の糞、ハチなどに似せるような擬態が多く見られるようになります【注】

 ⇒そのためか、カミキリムシ科の仲間は、ハムシ科やゾウムシ科と違って、
  形態や色彩、サイズなどが千差万別なので、いわゆる虫マニアの中でも、
  カミキリ屋さんが多い理由の一つかもしれません。




今回から数回に分けて、写真撮影できたカミキリ類(成虫!!)について、
捕食者に対する様々な防御手段を分類しながら、撮影順に紹介していきます。

ただ、その内容に関しては、私個人の感想を書いたものなので、
どうしても同意できない、あるいは納得できなと言う方も、
多分、沢山いらっしゃるかもしれません。

 ⇒私自身は、いわゆる擬態に関しては、○○は擬態で、△△は擬態ではないと、
  明確に識別・分類できるものではないと思っています。




【注】カミキリムシの仲間も含めて、ほとんどの虫たちの体色や模様は、目立つのか、
   あるいは目立たないか、どちらか一方に分けられると思います。
   ⇒もちろん、厳密には静止する背景(の色)によって異なります・・・

   普通に考えれば、少しでも捕食者から見つかりにくいような、
   背景に溶け込む保護色の虫たちが基本だと思いますが、
   ある特殊な虫たちは、逆に良く目立つような色彩になることがあります。
   その特殊な虫たちの多くが、体内に有毒物質や不味成分を持っているか、
   あるいは、捕食者にとって危険な武器を持っていたりするので、
   捕食者はその目立つ色を覚えていて、2度と攻撃することはなくなるのです。
   ⇒そのような目立つ色彩を、警戒色あるいは警告色と言います。

   そして、虫たちの中には、体内に不味成分もなく武器も持たないのに、
   警戒色の虫たちに似せることによって、攻撃を避けようとする種類がいます。   
   ⇒一般的には、ベイツ型擬態とされている虫たちです。

   カミキリの仲間には、このベイツ型擬態の例が多いような気がします。
   逆に、保護色に分類される(?)種類は少意外とないのかもしれません。





記念すべき(?)最初の1枚は、20世紀に撮ったこの写真です。


01: イシガキゴマフカミキリ(カミキリムシ科) 
01 SG-2513a
1999年6月20日 石垣島・沖縄

 ➡➡➡ ベイツ型擬態: モデルは毒グモ

デジカメがようやく普及してきたころの写真です。
この黄色と黒色の色彩パターンは、良く目立ちます。

本種は、カミキリにしては触角が短く太いので、
8本足のクモに似ているように見えます【注】

 ⇒モデルは縞々の脚を持つ有名な「タランチュラ」のようですが、
  学習可能な捕食者(野鳥類など)が攻撃しない可能性について、
  調査・観察が行われているかどうかは不明です。

  もし仮に、野鳥類が強烈な毒グモを捕獲しても、
  その毒性が強すぎて、死亡するので学習できない・・・(?)


【注】捕食者に直接危害を及ぼさないようなものに擬態する場合、
   例えば、枯れ葉擬態、鳥の糞擬態、その他の非食物擬態などは、
   かなり精密に似せないと、簡単に見破られてしまいます。

   ところが、相手に危害を与えるようなベイツ型擬態(ハチ擬態など)は、
   捕食者が過去の嫌な経験が頭の片隅にあることで、少しでも似ていれば、
   その経験を思い出してしまうので、十分な効果が期待できると思います。

   また、体内に不味成分や有毒物質を含む虫たちを食べて、吐き戻した捕食者も、
   その色彩や形態を覚えて、よく似たものを避けますが、その似ている程度は、
   上記の枯れ葉擬態などと比較して、精密でない場合が多いと思います。

   さらに、サティロス型擬態のように、例えば目玉を強調するような模様も、
   全く同じことが言えるはずで、対称の位置に丸い模様が1対あれば、
   微妙な似せ方でも、ある程度の効果が期待できるのではないかと思います。






02: ヤエヤマホソバネカミキリ(カミキリムシ科)  
02 SG-0123a
2003年4月6日 与那国島・沖縄

 ➡➡➡ ベイツ型擬態: モデルはアシナガバチ(?)

沖縄先島諸島に分布するハチのように見えるカミキリです。
ネット情報では、サイズの変異が大きいとされています。

 ⇒寄生植物であるリュウキュウアカメガシワの生育状況、
  あるいは寄生部位などに影響されるのでしょうか?


個人的には、全体の雰囲気が有毒の蛾「キスジホソマダラ」にも、
さりげなく似ているように感じるのですが・・・

【金属光沢の蛾 キスジホソマダラ】
    ↓   ↓   ↓









03: キンケトラカミキリ(カミキリムシ科)  
03 SG-0320a
2010年6月5日 白岩森林公園・青森

 ➡➡➡ ベイツ型擬態: モデルはスズメバチ

この状態で最初に見つけたときには、小さなスズメバチだと思いました。
全く疑問の余地はなく、典型的なベイツ型擬態であるはずです。

 ⇒もちろん、真上から見ても、飛んでいるときも、よく似ています。








04: ヘリグロベニカミキリ(カミキリムシ科)  
04 SG-0324a
2010年6月6日 弘前市・青森

 ➡➡➡ ベイツ型擬態: モデルはベニボタル

幼虫が竹の中で育つベニカミキリにそっくりですが、よく見ると、
前胸部周辺が黒いので、識別は十分可能です。

 ⇒ただし、両種のこの程度の違いでは、
  ベイツ型擬態の有効性に差はないと思います。









05: 多分クロハナカミキリ(カミキリムシ科)  
05 SG-0362a
2010年6月10日 白岩森林応援・青森

 ➡➡➡ ベイツ型擬態: モデルはホタル

胸部が赤いので、ホタルに似ていると思いますが、赤いのは雌だけです。
雌だけが擬態する例は、チョウの仲間でもよく知られています。

近縁種のムネアカクロハナカミキリの雌にも似ていますが、
残念ながら、写真同定は難しいと思います。

 ⇒ここでは、やや北国に多いとされるクロハナカミキリとしましたが、
  ネット情報による識別方法は、確認できませんでした。
  ただ写真で見る限り、腹部の先端がわずかに凹になっているようです。
   







06: ヨツスジハナカミキリ(カミキリムシ科)  
06 SG-0467a
2010年7月11日 筑波山・茨城

 ➡➡➡ ベイツ型擬態: モデルはスズメバチ

本種は個体数も多く、花のまわりをよく飛び回っています。

 ⇒姿かたちだけでなく、飛んでるときの翅音が、
  本当にスズメバチそのもののように感じます。








07: クロトラカミキリ(カミキリムシ科) 
07 SG-0956a
2010年8月11日 田沢湖・秋田

 ➡➡➡ ベイツ型擬態(?): モデルは小さなハチかアリ

拡大写真でじっくり見てしまうと、ちょっと無理があるかもという気がしますが、
実際に花のまわりをウロウロしていると、ハチのように見えます。

 ⇒この微妙に似た雰囲気が、ベイツ型擬態の特徴でもあります。
  前述のように、隠蔽的擬態の虫たちほどほど精密に似せていなくても、
  臆病な捕食者は、騙されてしまう傾向があるのです。

  【ヒマかもしれない擬態の話《6》 ベイツ型擬態のまとまりのない話 】
     ↓   ↓   ↓









08: コブヤハズカミキリ(カミキリムシ科)
08 SG-3143a
2010年10月12日 白岩森林公園・青森

 ➡➡➡ 保護色または隠蔽的擬態:
 
褐色系のカミキリの仲間は、枯れ枝や落ち葉の中に静止していると、
なかなか見つけることができません。
上翅の色と模様は、まさに大木の樹皮のようです。

 ⇒必然的に、私が撮ったカミキリの生態写真は、
  ほとんどが緑色の葉っぱが背景になっています。








09: シロトラカミキリ(カミキリムシ科)
09 SG-3321a
2011年5月27日 白岩森林公園・青森

 ➡➡➡ ベイツ型擬態: モデルはハチ

かなり複雑な模様ですが、この黄色と黒色の配色は、
遠目に見るとやはりスズメバチに似ているのかも・・・

 ⇒逆に言うと、これだけ目立つ模様になるのは、
  学習可能な捕食者を騙す何らかの仕組みがあるはずです。







10: ツヤケシハナカミキリ(カミキリムシ科) 
10 SG-3592a
2011年6月15日 東海村・茨城

 ➡➡➡ ベイツ型擬態: モデルはホタル

本種は、上翅が赤っぽいタイプもいるようですが、写真の黒色タイプは、
肩(上翅付け根部分)のみが赤くなって、多少ともホタルに似ています。

 ⇒実際には、「カタアカベニボタル」というよく似た種類がいます。


また、もう少し赤色部分が大きいのですが、「キタベニボタル」という、
比較的稀な種類(?)もいます

【色々と不思議な虫??? キタベニボタル】
    ↓   ↓   ↓






(このまま次回に続きます)





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