まだまだ、北国では本格的な「虫のシーズン」にはならない。

もう少し待てば、カメムシ類の幼虫を撮影する機会が増えるはずなので、
写真同定に備えて、よく似たカメムシ類の終齢幼虫を比較してみた。


今回はとりあえず、よく間違えやすいツノアオカメムシの終齢幼虫と、
ヨツボシカメムシの終齢幼虫の見た目の違いについて、検討してみた。

 ⇒両種とも、弘前市周辺では、まあ普通に見られるが、
  関東以西では、かなり珍しい種になると思う。
  特にヨツボシカメムシが、だんぶり池周辺で頻繁に見られ、
  最初はちょっとだけ感激した記憶がある。
  




念のため成虫の写真から・・・


成虫比較:
イメージ 1
左: ツノアオカメムシ成虫 2016年7月25日 扇沢・長野
右: ヨツボシカメムシ成虫 2014年6月21日 白岩森林公園・青森

ツノアオカメムシ成虫とヨツボシカメムシ成虫の見た目の違いは、
体色もサイズもh組めて、誰が見ても明らかであり、誤同定などはあり得ない。

 






ところが、よく似ている幼虫の写真は!!


幼虫比較:
イメージ 6
左: ツノアオカメムシ幼虫 2013年6月12日 安曇野・長野
右: ヨツボシカメムシ幼虫 2016年9月2日 だんぶり池・青森

この写真では色彩が異なるような印象だが、実際には、
終齢幼虫は、プロでも間違うほどよく似ているし、
ネット記事の中にも、ときどき誤同定の写真が見受けられる。







まずは、ツノアオカメムシ幼虫を詳細に見てみよう。


ツノアオカメムシ幼虫(カメムシ科)
イメージ 2
左上: 2015年5月10日 安曇野・長野
右上: 2013年6月12日 安曇野・長野
左下: 2016年6月18日 白岩森林公園・青森
右下: 2016年7月 3日 白岩森林公園・青森

この4枚の写真は、それぞれ別個体で、多少の個体差はあるかもしれないが、
いずれも、よく似た特徴が見られる。








ツノアオカメムシ幼虫(カメムシ科)
イメージ 3
2014年6月30日 豊浦森林公園・北海道

もちろん、分類学的な根拠があるわけではないが、
ツノアオカメムシ終齢幼虫の特徴をまとめると・・・

 ① 触角先端の後ろ半分が白い
 ② 前胸背側角は突出する
 ③ 6脚全てにかすかに白班が1~2か所ある
 ④ 終齢幼虫は5~7月に見られる【注】







一方のヨツボシカメムシ幼虫は・・・


ヨツボシカメムシ幼虫(カメムシ科)
イメージ 4
左上: 2010年9月8日 白岩森林公園・青森
右上: 2016年9月2日 だんぶり池・青森
左下: 2016年9月3日 白岩森林公園・青森
右下: 2017年9月9日 西蔵王公園・山形

この4枚の写真も、それぞれ別個体で、多少の個体差はあるかもしれないが、
いずれも、共通の特徴が見られると思う。







ヨツボシカメムシ幼虫(カメムシ科)
イメージ 5
2016年9月11日 だんぶり池・青森

もちろん、分類学的な根拠があるわけではないが、
ヨツボシカメムシ終齢幼虫の特徴をまとめると・・・

 ① 触角先端の後ろ半分が白~黄色。
 ② 前胸背側角は平たく突出する
 ③ 脚が白っぽいことが多く、細かい黒い点刻がある
   6脚全てに白班が1か所ずつある
 ④ 終齢幼虫は8・9月に見られる





・・・ということは、

この2種の終齢幼虫の場合は、①~③の形態比較だけでは、
写真での同定はできないことになってしまう。

しかし、幸運なことに、終齢幼虫の出現時期が、
特徴④のように明らかに異なる(ダブらない!)ので、
写真の撮影時期を確認すれば、両種の識別が可能なのだ。


これは成虫の交尾時期や越冬ステージの違いにも表れてくる。

 ⇒そして、成虫が晩秋のダムサイトに集まるか否かにも関係し、
  成虫越冬のヨツボシカメムシはダムサイトで見られるが、
  ツノアオカメムシの成虫がダムサイトに来ることはない。





既にお気づきの方もおられると思いますが、実は話が全く逆なのです。

 よく似た終齢幼虫の写真を見比べて、多少とも悩んでいるときに、
 両種には、越冬ステージに違いがあることに、ふと気が付いて、
 撮影年月日を確認した結果なのです。






【注】ツノアオカメムシの越冬は、少なくとも長野県では若齢幼虫である。
   ケヤキの樹皮の間などで集団越冬し、5月上旬までそのまま潜伏する。
   幼虫は5月中旬には、越冬場所から脱出し、
   クヌギ・ナラ・ケヤキなどの若葉に移動するようだ。

   私は、ツノアオカメムシの若・中齢幼虫を写真撮影したことはない。
   いや、見かけたことはあるのかもしれないが、同定はできないだろう。
   一般的には、若・中齢幼虫は、非常に目に付きにくいのかもしれない。

   越冬後、6月下旬には、大部分が老熟幼虫となり、7月には全て成虫となる。
   8月下旬になると、交尾する個体が確認され、9月上旬には産卵が始まる。

   このようなツノアオカメムシの老熟幼虫と、成虫の交尾写真の撮影時期は、
   上記の生活史(発育ステージと時期)に、ほぼ一致する。